復活の連覇が見えた。東京開幕週のメイン、根岸S(G3、ダート1400メートル、29日、1着馬にフェブラリーS優先出走権)へ向けた最終追い切りが25日、東西トレセンで行われた。昨年覇者のテイエムサウスダン(牡6、蛯名正)は重賞初制覇を目指す蛯名正師を背にし、美浦坂路で2頭併せ。軽快な動きで、好気配を漂わせた。

負けられない-。 寒波に負けず、蛯名正師の手に力が入る。12日に続き今週もテイエムサウスダンにまたがり、美浦坂路でシャーンゴッセ(3歳未勝利)を1馬身半追走。残り100メートルあたりで軽く仕掛けると同馬も素早く反応。4ハロン53秒0-12秒0で併入した。師は「先週やった分、さらに軽さが出てきて良くなっている」と肌で得た好感触から、仕上がりの良さを強調した。

敗戦を無駄にはしない。ダートグレード重賞4勝と地道に力をつけ、昨年の根岸SでJRA重賞初制覇。フェブラリーSでも2着とG1でも健闘した。かしわ記念3着後に、美浦に転厩してきたが、東京盃2着、JBCスプリント7着と白星をつかめていない。

師は「前2走は千二が短かったし、脚元もどうなのかなと手探りな部分も。厩舎として癖をつかみつつ、どういう調教をすれば一番いいのか分かってきた」と前を向く。昨年12月中旬からじっくりと坂路で乗り込み、1週前は4ハロン51秒5と動かした。「体の大きな馬なので、ある程度乗り込まないといけない。おそらく体も絞れていると思う」と、勝負ボディーを作り上げた。

騎手時代にJRA重賞129勝を誇る師は、昨年厩舎を開業。調教師として重賞5度目の挑戦で初制覇がかかる。「乗ってみて短距離馬の感じがしないし、脚質の幅はある。去年も勝っている舞台。ここで結果を出して次につながれば」。挑戦者に胸を貸し、G1への弾みをつける。【桑原幹久】