3月から調教師に転身する福永祐一騎手(46)が、JRAラストウイークを迎えた。来週末はサウジ遠征のため、今週土日が中央競馬でのラストライドとなる。連載「ジョッキー福永祐一と私」では2週にわたり、ゆかりの深い関係者が思い出を振り返る。

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昨年3月のデビューから1年弱でJRA通算58勝。今村聖奈騎手(19=寺島)の大活躍の裏には、常に福永祐一騎手の存在がある。

今村騎手 私の騎手としての基盤は祐一さんがつくってくださいました。祐一さんから騎乗姿勢とか、レースの組み立て方などを説明されるとすごく納得できるんです。馬を力でなく、バランスで抑える。女性騎手の手本になるような乗り方をされているので勉強になります。祐一さんのラスト小倉(4日)の時に、ゲートのことなど、久々にレースを見ながらお話しさせていただきましたが、改めてさすがだなと。すごく有意義な時間でした。

いつかは追いつき、追い越したい憧れの存在だ。JRA初騎乗、重賞初参戦、さらに昨年暮れのG1初騎乗でも全く緊張しなかったという今村騎手だが「祐一さんに競馬のことを聞く時はめっちゃ緊張します」と笑う。「デビューしてしばらくした時、騎乗姿勢が『祐一さんに似ている』と言われたことがあって。めちゃくちゃうれしかったんです」。どんな大舞台より、福永騎手と話す時がいちばん、背筋が伸びる。

一方で、今村騎手だからこそ知る福永騎手の違う一面もある。プライベートで福永一家に会ったとき、いつもと違う姿を見た。

今村騎手 すっごいパパでした(笑い)。ジョッキーって土日は家にいないですし、朝も調教でいないんで、子どもにとってお父さんってどこか遠い存在になるんです…。けど、祐一さんは今まで見たことのないような笑顔でお子さんと接してて(笑い)。そんな姿もいいなと思いました。

騎乗姿勢はもちろん、人柄も尊敬できる。だからこそ、感謝の念が絶えることはない。

今村騎手 ジョッキーの祐一さんがもういなくなっちゃうんですよね…。すごくさみしいですが、これからは福永厩舎の馬に調教から乗って、結果で恩返ししたいです! 

【取材・構成=藤本真育】