今週末、いよいよ6人の新人騎手がデビューを迎える。小林美駒(みく)騎手(17=鈴木伸)は、藤田菜七子騎手(25=根本)以来7年ぶりに美浦に誕生した女性ジョッキー。尊敬する兄弟子、横山武史騎手(24=鈴木伸)の競馬学校時代からの支えを胸に騎手人生のスタートを切る。栗東では河原田菜々騎手(18=渡辺)がスタンバイ。現役の女性騎手は6人になる。

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緊張した面持ちの裏に、心の底にある芯の強さが伝わってくる。小林美騎手は「競馬に乗っているんだと思うと、楽しみ半分、不安もあります」と背伸びせず、自分を見つめた。所属する鈴木伸厩舎の馬はもちろん、他厩舎からも騎乗依頼が届いた。期待が大きい分、プレッシャーはある。

その不安を解消してくれる存在がいる。同じ厩舎所属の横山武騎手だ。競馬学校時代から関係が深く、模擬レースにほぼ毎回足を運んでくれた。「調教に乗って教えていただいたりはもちろん、トレーニングも丁寧に教えてくださりました」。当初は力がなく、馬を引っ張ることが出来なかったという。それでも兄弟子の言う通りのメニューをこなすと、競馬のために必要な筋肉がついた。周囲からも体の成長を認めてもらう声が多く「馬に乗るための筋肉を使えているなと、実感してます」と胸を張った。

中山でデビューを迎える予定。周囲から声をかけられることが多くなってきた。「厩務員さんに『大丈夫か~俺の馬に乗るんだぞ~!』って(冗談半分で)プレッシャーをいただいたり。その期待に応えられるように、馬とも厩務員さんとも会話をとりながら、競馬を作っていければと思います」。不安は少しずつ、楽しみへと変わりつつある。騎手の第1歩目、好スタートを目指す。【阿部泰斉】

◆女性騎手のJRAデビュー週成績 16年3月にデビューした藤田菜七子騎手は、初騎乗の中山2Rネイチャーポイントで2着と初騎乗初勝利を惜しくも逃した。21年3月デビューの永島まなみ、古川奈穂の両騎手はともに4着、昨年の今村聖奈騎手は3着が最高着順。引退した6人を含め、これまでデビュー週に勝った女性騎手はいない。

◆小林美駒(こばやし・みく)2005年(平17)3月19日、新潟県生まれ。小学校時代に乗馬をしていたことや、新潟競馬場に通ったことがきっかけで騎手を志す。目標の騎手は横山武。競馬好きの両親のもとに生まれ、2人の兄の名前には「馬」がついている。特技はジグソーパズル。152.7センチ、45.9キロ。

■栗東も女性1人 河原田菜々

栗東からは河原田菜々騎手がデビューする。小学4年生で乗馬を始め、競馬中継を見て、騎手と馬が人馬一体となっている姿に憧れ、騎手を志した。「支えていただいた方々への感謝の気持ちを忘れずに、向上心を持って頑張っていきたいと思います。レースを見た人に『女の子じゃないんじゃないか』と思わせる騎手になりたいです」と頼もしさを見せた。