皐月賞(G1、芝2000メートル、16日=中山)の追い切りが12日、東西トレセンで行われた。
調教を深掘りする「追い切りの番人」では、大阪本紙の太田尚樹記者が3連勝中のフリームファクシ(牡、須貝)をマークした。G1・3勝馬ソダシに先着した追い切りに加え、週1~2回の“超スロー調教”に注目。精神面の課題克服が期待できそうだ。
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あらためて身体能力の高さを感じた。雄大な脚さばきで坂路を駆け上がるフリームファクシが、あのソダシをかわす。ゴール前でG1・3勝馬に差し返されそうになると、馬なりでもうひと伸び。首差先着を果たした。「時計を気にせず、オーバーワークにならないように」(須貝師)という調教でも、ラスト11秒9を出せるのはさすがだ。
われわれ記者はどうしても追い切りに注目しがちだが、現場のホースマンからはよく「そこだけじゃない」とたしなめられる。重要なのは日々の積み重ね。そして今回、気になったのは追い切り日以外に週1~2回の頻度で組み込まれているCウッド2周の調教だ。ペースは1ハロン20~30秒台と非常に遅い。僚馬ショウナンバシットにはないメニューだから、須貝厩舎の定番というわけでもない。その意図は? 担当する山田助手にたずねた。
「じっくり長めに乗って体力をつけるようにしている。他の馬に追い抜かされたり、ラチ沿いのカラスとか、係のおじさん(馬場監視員)とかを見てバタついたり、そういうのに慣れる意味もある」この“超スロー調教”は、精神面の課題克服への特訓でもある。前走きさらぎ賞は、須貝師いわく「納得いかない勝ち方」だった。1角で他馬に寄られてエキサイト。道中でハミをかんだ。「もう1つ上のランクのレースになると、しまいがなくなってしまう。だから(この中間は)お勉強に重点を置いた」。他馬に抜かれても、驚かされても、動じないよう鍛えられた。
昨年の経験も糧になった。1歳上の半兄リューベックは若駒Sを勝ちながらも、クラシックには出られなかった。
トレーナーは「お兄ちゃんも気が荒かったから。毎日、勉強してくれて賢くなった。あとは世界トップレベルのジョッキーに任せる」と、レーン騎手へバトンを託す。タイトな中山2000メートルで18頭立てのタフな戦い。今こそ英才教育の成果を見せる時だ。【太田尚樹】

