土曜に中山競馬場で行われる障害競走の春の大一番、中山グランドジャンプ(J・G1、芝4250メートル、15日)に今年は絶対王者オジュウチョウサン(牡12)の名前がないことが話題になっている。

同馬は和田正厩舎に所属し、16~20年に5連覇という大偉業を達成。21年は5着に敗れたが、昨年は11歳で復活の勝利を挙げ、過去7年で6度の勝利を記録した歴史的名馬(平地の有馬記念にも出走)。中山大障害を最後に惜しまれながら現役を引退し、現在はヴェルサイユリゾートファームで種牡馬生活を送る。

今年は8年ぶりにオジュウチョウサンのいない中山グランドジャンプ。SNS上には「オジュウいないと寂しいと思ってエープリルフールしまう」「オジュウのいない中山GJがやってくるのか。エイプリルフールみたいだなぁ」といったファンによる“オジュウロス”の投稿が続出している。

また、過去5年や過去10年の中山グランドジャンプの成績を見ると、オジュウチョウサンの名前がズラリと並び、過去のデータが予想の参考にならないことも話題になっている。「オジュウとかいうデータ破壊馬」「データもオジュウのプロフィールと化してるし何をどう予想すればええんですか」「データ班を破壊するオジュウ」「過去10年のデータほぼオジュウなのが草 まさに伝説」「オジュウのデータじゃねえかよW」「直近のデータはほぼ役に立たないので貴方の中のオジュウを買いましょう」「オジュウが化け物ってことしかわからんデータ」「マジでオジュウのデータだわ」「中山GJのデータ、オジュウの存在のせいで参考にならなくて笑った オジュウ勝ちすぎでしょ」とオジュウチョウサンの積み上げた勝利に対し、ファンのリスペクトは尽きない。

中山グランドジャンプを翌日に控えた14日(金曜)には株式会社KADOKAWAから「オジュウチョウサン 夢とロマンは果てしなく」が発売される。オジュウチョウサンのドラマチックな軌跡をつづった初の「オジュウ本」であり、著者は長山尚義オーナーで、長沼昭利厩務員の特別寄稿が収録されている。出版するKADOKAWAの担当者は「オジュウがどのように誕生し、未勝利馬から絶対王者へはい上がったのか。主戦の石神騎手や有馬記念に挑んだ武豊騎手との秘話など、読み応え十分の一冊になっています。ぜひ、熱狂的な障害競走のファンの皆さま、また、すべての競馬ファン、そして、これから競馬を始める多くの方に読んでもらい、これだけ素晴らしい馬とそのライバル、携わった多くのホースマンたちがいたことを知ってもらいたいと思います」とコメントしている。

今年の中山グランドジャンプには11頭が登録。昨年の中山大障害を制した新王者ニシノデイジー(牡7、高木)はオジュウの主戦だった石神深一騎手とのコンビでG1連勝を狙う。前哨戦のペガサスジャンプSを連覇したビレッジイーグル(牡6、竹内)や昨秋のイルミネーションJSを圧勝したミッキーメテオ(牡6、西田)、一昨年にメイショウダッサイで制した森一騎手のダイシンクローバー(セン7、安田隆)などが熱戦を繰り広げる。絶対王者オジュウチョウサンの雄姿を思い浮かべながら、今年の中山グランドジャンプ出走馬たちに声援を送り、新たな名馬の誕生を見届けたい。