オークス(G1、芝2400メートル、19日=東京)の最終追い切りが15日、東西トレセンで行われた。
G1出走馬の調教を深掘りする「追い切りの番人」では、東京の松田直樹記者が桜花賞馬ステレンボッシュ(国枝)に注目した。この日は後半3ハロンで急加速。遅いラップを修正し、国枝栄師(69)がかねて推す「扱いやすさ」を調教中に示した。折り合いスムーズの桜花賞馬が厩舎3頭目の2冠牝馬達成に1歩近づいた。
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ステレンボッシュは美浦ウッドで6ハロン83秒6-11秒4を計時した。阪神JF2着、桜花賞1着時は栗東滞在。ホームでの6ハロンからの最終追いは昨年10月のサフラン賞以来だった。全体時計は控えめだが、後半3ハロン35秒6(12秒8-11秒4-11秒4)は、この日2番目に速いタイム。戸崎騎手騎乗の1週前より1秒3も速かった。
前後半でピッチが大きく上がる。国枝師は「最初が遅かったから、『遅いぞ』と言ったんだ」と、騎乗していた助手に無線で指示を出したという。「途中からペースを上げて、しっかりと走れていたね」。先行した外テンペスト(古馬1勝クラス)と併入、中ウィンターダフネ(古馬2勝クラス)に半馬身先着した。“動いた”のではなく、“動かした”。ここに完成度の高さが出ている。
国枝師は「落ち着きがあって、慌てないところ。余裕があるという感じがいい」と大人びた性格をほめる。今回は桜花賞から800メートルの延長。急に加速を促したことでテンションのスイッチが入ってしまう懸念があれば、この日のようなラップは刻めない。「精神力があるよね。だから調教でチャレンジができる」。G1馬の実力は言わずもがな。動きの中で軌道修正ができるほど、メンタルの成熟度も高い。
どこにいっても過去の2頭と比較される。10年アパパネと18年アーモンドアイ。中間は過去に管理した3冠牝馬2頭を基準に、勝負の行方を問われた。
「前回も体はできていたけど、1回使われて完全にそのモードに入っている。状態としては2頭と遜色はない。いいレベルにある」
勝利の基準は誰よりも知っている。あえてステレンボッシュの特徴も挙げてもらった。「扱いやすい。圧倒的に。全部がバランスいいよね」。今年の桜花賞馬の武器は安定感に置き換えられる。もともと適性を中距離以上と見立てていただけに、直近のマイル連戦はむしろ適性外の舞台をこなしたと判断していい。「中団あたりから相手に合わせて競馬をすれば、最後は力で抜けてくるんじゃないかな」。2冠達成の可能性は高いとみる。【松田直樹】

