皐月賞馬ソールオリエンス(牡3、手塚)は衝撃的な差し切りから一夜明け、美浦トレセンの馬房でいつも通りの朝を迎えた。

担当の名畑助手は「もっとぐったりくるかと思いましたが、レース後もケロッとしていました。今のところ元気そうで何よりです」と笑みを浮かべた。レースを終え、18時ごろに中山競馬場を出発。19時過ぎに“自宅”に到着したという。

皐月賞は絶大なインパクトを残す勝ちっぷりだった。4角17番手。大外一気。デビュー3戦目での牡馬1冠目制覇は史上初の快挙。混戦と言われた3歳牡馬路線の勢力図を、一瞬でソールオリエンス一色に塗り替えた。名畑助手はゲート裏まで付き添い、担当者の移動用バス内でレースを観戦した。勝利の瞬間、喜びと同時に浮かんできたのは2冠への重圧にも似た感情だった。

「競馬が終わって『やったー』というよりも、どえらい馬をやっているなという緊張が勝ちました」

同助手はG1・3勝馬フィエールマン、NHKマイルC優勝馬シュネルマイスターなどを担当。多くの名馬を手がけた人ですら、その強さに体をこわばらせた。

3戦3勝での皐月賞制覇はうれしさもひとしおだった。鞍上の横山武騎手が競馬学校1年時に、厩務員過程で生活をともにしていた。付き合いはもう10年近い。「武史とG1を勝ちたいと思っていたので、今までのG1とは違ううれしさがありました。当時のことを思い出しましたし、レース後に大声で名前を呼ばれたときはうるっときました」。シュネルマイスターの手綱を託した21年安田記念が3着、21年マイルCSが2着などに終わっていただけに、念願かなった勝利だった。

ソールオリエンスは19日に山元トレセンへ短期放牧に出て、ダービーへ英気を養う。名畑助手は「ダービーから逆算して、京成杯から皐月賞に直行するローテでしたからね。立ち写真を見ても、今は体つきが全然違う。あと1カ月くらい、この馬なりに良くなってもうひと成長してくれれば。広いコースに替わるのはプラスです。このまま規格外でいってほしいですね」と2冠達成へ意気込みを語った。