4番人気のモズメイメイ(牝、音無)が“神スタート”で勝負を決めた。スタートに定評がある武豊騎手(54)を背に、目の覚めるようなロケットダッシュを見せると、そのまま1200メートルを逃げ切った。

同じ勝負服、同じ音無厩舎の先輩モズスーパーフレア(20年高松宮記念勝利)を思わせる快速馬が誕生した。秋はスプリンターズS(G1、芝1200メートル、10月1日=中山)を目指す可能性が高そうだ。

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ダービーの半分の距離で争われた一戦。快速馬ぞろいのはずなのに、それでもモズメイメイのダッシュ力は際立っていた。ゲートオープンの次の瞬間には早くも他馬を1馬身リード。スタートの名手と言われる武豊騎手も「タイミングが合いすぎた。速かった」と驚くほどの反応だった。

レースプランとして「逃げるつもりはなかった」とレジェンドはいう。だが、こうなれば控えるわけにはいかない。気持ち良さそうに先頭を進み、ゴール前で迫ってきたルガルを半馬身差、抑えた。「前半のアドバンテージが効いた」と神スタートで勝負を決めた。

2走前の桜花賞トライアル・チューリップ賞(芝1600メートル)はコンビで逃げ切った。だが、鞍上は「初めて乗った時から、先々はスプリントがいいと思っていた」と適性を見抜いていた。デビュー初の1200メートル戦で、早くも答えを出した。

この後は夏休みに入る。「ローテは白紙。オーナーが決めることだが、秋はスプリンターズSになるのかな」と音無師。一方の武豊騎手は28日日曜に、ファントムシーフで2年連続7度目の日本ダービー制覇に挑む。「明日(28日)もこうやってインタビューを受けていればいいですね」。54歳の春も存分に存在感を見せている。【岡本光男】

◆モズメイメイ ▽父 リアルインパクト▽母 インラグジュアリー(フランケル)▽牝3▽馬主 (株)キャピタル・システム▽調教師 音無秀孝(栗東)▽生産者 社台ファーム(北海道千歳市)▽戦績 6戦4勝▽総収得賞金 1億1436万1000円▽主な勝ち鞍 23年チューリップ賞(G2)▽馬名の由来 冠名+人名愛称