名コンビが夏を華麗に締めた。3番人気セットアップ(牡)が2着に4馬身差をつけて逃げ切った。勝ちタイムは1分50秒5。鞍上の横山武史騎手(24=鈴木伸)と管理する鹿戸雄一調教師(61)はともに当レース初勝利。このタッグでは21年有馬記念のエフフォーリア以来の重賞勝利。また2着に横山典弘騎手騎乗のパワーホールが入り、グレード制導入後の84年以降、JRA重賞での親子ジョッキーのワンツーは史上初となった。

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残り50メートル。セットアップを懸命に鼓舞する横山武騎手が、ちらりと後ろを振り返った。1度も先頭を譲らずにゴール板を駆け抜け、左手をスタンドへ突きだした。「想像以上に強かったですね。こんなに離せるとは思わなかったです。ダートもこなせそうな走りをしているので、馬を信じて内を行ってみました」。直前の通り雨でタフさを増した洋芝も悠々とこなした。

名馬の影がちらつく。横山武騎手と鹿戸師のコンビでは通算22勝目。重賞は21年有馬記念のエフフォーリア以来2年ぶりだ。「鹿戸厩舎とのコンビでエフフォーリア以外にも重賞を勝てたことは、僕的にも厩舎的にも士気が上がると思います」と勝利をかみしめた。

今後は放牧に出され、朝日杯FS(G1、芝1600メートル、12月17日=阪神)かホープフルS(G1、芝2000メートル、12月28日=中山)への直行を視野に入れる。「2000メートルよりは短い方がこの子には合っているかなという感触ではありますが、現状特に変な癖もないので」と距離延長にも期待を込める。クラシック活躍馬を多数輩出する北都の出世レースを制し、明るい未来が開けた。【桑原幹久】

◆札幌2歳Sの逃げ切り勝ち 芝1800メートルとなった97年以降、逃げ切って勝利したのは16年トラスト以来通算4回目。