小倉短距離血統のなせる技だ。5番人気のアスクワンタイム(牡、梅田)が直線大外一気を決め、18年に勝った全兄ファンタジストに続き、兄弟制覇を達成した。

この時期にある程度完成していた兄と違って、弟は伸びしろ十分。この先、小倉の枠を超えた大きな成長が期待される。

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「兄(ファンタジスト)と比べるとまだ体もメンタルも幼い。使ってみどころがあれば将来が楽しみになると思っていた」とは梅田師のレース前に抱いた思い。それがどうだ。岩田望騎手の巧みな誘導で直線大外に出されると前との差をみるみると詰めていき、ミルテンベルクとのたたき合いを制した。岩田望騎手は「ゲートから進んでいかなかったけど、差しが決まっていたので、ゆっくりリズム良く行きました」と慌てることなくレースを進め、パートナーの力を引き出した。「追い出してすごくいい反応だったので届くと思いました」。

全兄ファンタジストは18年の小倉2歳Sを制覇。全姉は昨年の北九州記念を勝ったボンボヤージ。小倉の6ハロンを得意とする“血”がまだ完成途上のアスクワンタイムをも頭差の勝利に導いた。「ファンタジストはこの時期にわりと完成していました。この馬はまだ伸びしろがあります」と梅田師はさらなる成長を期待する。兄はその後も重賞を勝ち、距離も1800メートルまで克服した(19年スプリングS2着)。弟はどこまで強くなるのか。アスクワンタイムの進化が何とも楽しみになってきた。【明神理浩】

◆アスクワンタイム ▽父 ロードカナロア▽母 ディープインアスク(ディープインパクト)▽牡2▽馬主 広崎利洋▽調教師 梅田智之(栗東)▽生産者 株式会社ASK STUD(北海道平取町)▽戦績 3戦2勝▽総収得賞金 3976万4000円▽馬名の由来 冠名+もう1度、再び