毎日王冠(G2、芝1800メートル、8日=東京、1着馬に天皇賞・秋の優先出走権)の最終追い切りが5日、東西トレセンで行われた。春にニュージーランドTを制した3歳馬エエヤン(牡、伊藤大)が初めて古馬一線級に挑む。2週続けて意欲的に攻めの調教を消化し、まずは秋初戦のここに全力投球だ。

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ひと夏を越しパワーアップしたエエヤンが美浦ウッドコースを気合乗り十分に駆け抜けた。序盤から抜群の行きっぷりを見せ、直線半ばでゴーサインが出ると体を弾ませながらパワフルにギアを上げた。時計は6ハロン82秒9-11秒1(強め)。ボリュームアップしたトモを余すことなく使い、ストライドを目いっぱい伸ばした。伊藤大師は「先週しっかりやってからスイッチが入ったし、がらっと一変しましたね。この馬本来のフットワークでしたね」と合格点を与える。

1週前にも長めから意欲的に負荷をかけられ、同コースで6ハロン81秒3-11秒7(末強め)と自己ベストを大幅に更新。さらに上を求めて今週も攻めの調教に徹した。「たたき台という気はないし、かなり攻めてきた」と古馬一線級を相手に、万全の仕上がりでぶつかっていく構えだ。

マイルからの距離延長、勝ち鞍のない東京コースと乗り越えるべき課題はあるが師に悲観の色はない。「もともと(適距離は)千八、二千だと思っていた。馬場のきれいな開幕週だし、気持ち良くこの馬の大きなストライドでのびのび走らせるにはいい舞台だと思う。東京が不安だという声を黙らせたいね」と、負のイメージを覆したい思いは強い。

「単純にいい馬だよね。宝物だよ」と師がほれ込むまだまだ伸び盛りの素質馬。伝統のG2を制し、親しみやすく愛らしいこの名を、この秋はさらにとどろかせる。【井上力心】