日本国内でも4競走が馬券発売される米ブリーダーズCウイークが幕を開けた。川田将雅騎手(38)はウシュバテソーロ(牡6、高木)とのコンビで、史上初の同一年ドバイワールドC&BCクラシック(G1、ダート2000メートル、11月4日=サンタアニタパーク競馬場)制覇を目指す。連載「THE Jockey 川田将雅」で日本人騎手の第一人者に迫る。第1回は川田騎手自身が“世界挑戦への決意”を語った。

    ◇    ◇    ◇

日本代表として-。常に世界を見据える川田騎手は、静かに闘志を燃やしていた。今年のドバイワールドC覇者ウシュバテソーロと挑むBCクラシック。勝てば、日本馬も日本人騎手も初制覇。同一年のドバイワールドC&BCクラシック制覇は史上初の偉業だ。

川田騎手 ブリーダーズCクラシックに、これだけ素晴らしい馬でチャレンジできる。本当にありがたいと思います。日本馬としてBCクラシックを勝ちに行く。ここが最重要課題です。その世界への挑戦を楽しんでいただきたいです。

ウシュバテソーロとは初コンビでドバイワールドCを制した。テン乗りにもかかわらず、世界最高峰の一戦で結果を出す。その技術には誰もが驚嘆した。

川田 まずはその馬を知ること。その馬がどういう馬なのか、知ることが大切だと思います。ウシュバは追い切りからコンタクトを取りましたが、まずはまたがる前に馬をよく見る。そこからです。

最高のパフォーマンスを発揮させるにはどうするべきか、常にそれを考えてきた。21年BCフィリー&メアターフで日本馬初のBC制覇を達成したラヴズオンリーユーもそう。3歳時のオークス制覇後、白星から遠ざかっていた同馬を21年京都記念で、そして秋に米国の地で復活に導いたのも川田騎手だった。

偉業を達成した日本馬の背には川田騎手がいる。そこには強い責任感がある。

川田 日本馬のレベルが高くなり、世界トップレベルになっています。日本馬が日本人騎手と世界に挑戦することが重要だと思っています。自分自身も常に世界へ挑戦していきたいという気持ちです。

今年はリバティアイランドで牝馬3冠を達成した。秋華賞のゴール後、馬上で見せた“スリーピース”は紛れもない名シーンだ。「歴史的な瞬間ですからね」。記録にも、そして記憶にも残る偉業だった。今度は世界でさらなる高みへ。

川田 海外競馬への挑戦は、サッカーやラグビーのワールドカップみたいに、日本代表というものがあり、それに選ばれ、国を代表して戦いに行くわけではありません。ですが、世界トップクラスの日本馬が、日本を背負って頑張ってくれます。その馬たちの頑張りを皆さんに見てもらいたいです。

馬ファーストの川田騎手らしい言葉。日本中が偉業達成の瞬間を心待ちにしている。【藤本真育】

◆日本調教馬のBCクラシック成績 96年に安田記念2着から直行したタイキブリザードが最初で、13着に敗れた。同馬は翌年も参戦し6着。以降は04年パーソナルラッシュ6着、08年カジノドライヴ12着、10年エスポワールシチー10着。