2つの“アレ”に向け、ホットな週末を迎えます。

開業4年目の小手川準調教師(51)は大の阪神ファン。接戦続きの日本シリーズにもちろん熱中で、サヨナラ勝ちから一夜明けた2日朝は、トレードマークの阪神の帽子をかぶり「大山選手がよく打ってくれました」と笑顔を見せていました。

そんな虎党の師は、3日のJBCクラシックにウィルソンテソーロ(牡4)、5日のアルゼンチン共和国杯にヒュミドール(せん7)を出走させます。前者は転厩初戦の3走前にかきつばた記念を制覇。厩舎に中央・地方合わせて初の重賞勝利をもたらしました。

現在ダートグレード競走を3連勝中。「ポテンシャルは相当で、まだ完成されていないです。1回骨折してまだボルトが入っている馬なので、あまり負荷をかけてきませんでしたが、それでも3連勝してくれました。坂路もできたので今回はもう一段階踏み込んだ調整をしています。どんな条件でも力を出してくれるので、強い相手にどこまでやれるか楽しみです」と初のG1級勝利へ力が入ります。

一方、左前脚の軽度な骨折での休養から明け初戦のヒュミドールは、今回が16度目の中央重賞挑戦で初制覇がかかります。自身も27度目の同挑戦で初制覇を目指す師は「スタッフ、牧場さん、装蹄師さんなどがコミュニケーションを取って順調に立ち上げられたので、いい休養になりました。競馬を分かっている馬なので、休み明けを気にする馬ではないです。牧場にいた頃から馬が何とか重賞を勝ちたい、リベンジしたいという気持ちが伝わってきていますね」と闘志あふれるベテランに期待を込めます。

看板馬2頭の存在は厩舎全体にも勢いをもたらしていると、師は話します。「僕が小桧山厩舎にいた頃、活躍したスマイルジャックの振る舞いなどを学んだ他の馬も、引っ張られて勝つようになったんです。ヒュミドールとウィルソンテソーロはお互いを尊重していて、その2頭に若い馬もついていこうとするんです。人間と同じで、馬も馬同士で会話していると思うので、2頭は大きな存在です」。

話はそれますが、30代前半が最年長と若々しい阪神タイガースも、振り返れば鳥谷選手、糸井選手、能見投手といった長寿選手が残した“財産”が、今の強さの一因となっていることに違いありません。

「スタッフも頑張ってくれているので、こういったレースにチャレンジできることに感謝したいです」。

かたや初のG1、かたや初の中央重賞勝利を目指す2頭の活躍が、小手川厩舎にどんな反応を起こすのか。人馬の今後の躍進に注目です。【桑原幹久】