兵庫から参戦の3番人気イグナイター(牡5、新子)が好位から抜け出し、重賞8勝目を挙げた。勝ちタイムは1分12秒0。5度目のG1挑戦で初制覇を飾り、13年エスポワールシチーとの父子制覇を果たした。大井の笹川翼騎手(29)、兵庫の新子雅司調教師(45)もG1初制覇となった。

昨年のNARグランプリ年度代表馬が大一番で並みいるスプリンターを退けた。スタートを決めると3、4番手を追走。3角で2番手に上がり、直線の半ばで先頭に立った。「手応え抜群で思っていたより1列前で運べた。仕掛けだけ早くなりすぎないようにリズムを大切に。最後まで必死でした」と笹川騎手。外からリメイクが追い上げてきたが、終わってみれば1馬身半差の快勝で、スタンドの“ササガワコール”に何度も手を上げて応えた。

兵庫所属馬初のG1制覇。新子師は「やっと勝てたという思いです。今回は仕上げ切った分、ゲートもピリピリ。翼君(笹川騎手)がうまく決めてくれました」と鞍上をたたえた。次走は「まだ決めていませんが、海外も視野に入れてプランを立てたい」とサウジやドバイ、今年は選ばれなかったコリアスプリントにも意欲をのぞかせた。

「最後は(タガノ)ジンガロのひと押しもあったと思うんですけど…。よかったです」と師。15年JBCスプリントで14着後に急性心不全でこの世を去った管理馬に思いをはせ、涙ぐんでいた。【牛山基康】

 

 

◆イグナイター▽父 エスポワールシチー▽母 ビアンコ(ウォーニング)▽牡5▽馬主 野田善己▽調教師 新子雅司(兵庫)▽生産者 春木ファーム(北海道日高町)▽戦績 25戦12勝(うち中央3戦1勝)▽総収得賞金 2億9104万円(同700万円)▽主な勝ち鞍 21年楠賞、22、23年黒潮スプリンターズカップ、22年黒船賞(Jpn3)、かきつばた記念(Jpn3)、23年さきたま杯(Jpn2)、園田チャレンジカップ▽馬名の由来 点火薬。