香港ヴァーズ(G1、芝2400メートル、10日=シャティン)にアイルランドから参戦するウォームハート(牝3、A・オブライエン)は、名手ライアン・ムーア(40)が“負担重量53キロ”で騎乗することが大きな話題になっている。JRAのレースでは10年エリザベス女王杯でスノーフェアリー(1着。翌年連覇)に54キロで騎乗しているが、その後は54キロ以下の騎乗はなし。短期免許の来日時は基本的に騎乗依頼を受けるのは55キロ以上となっているため、今回の53キロには勝負気配が漂い、日本の競馬関係者にとっても驚きを持って受け止められている。

8日夜には香港のコンベンションセンターで行われた夕食会で「ロンジン・ワールド・ベスト・ジョッキー」の表彰が行われた。最多タイとなる4度目の受賞となったムーア騎手は「私は幸運です。素晴らしいオーナー、調教師のもと、本当にいい馬に何度も乗ることができました。(騎手を)始めた頃の目標は最高のレースで最高の馬に乗ることでした。今はそれがいつものことになっています」とコメント。香港ヴァーズのウォームハートについて、日本馬への警戒心を見せながら「もし彼女が好走できなければガッカリすると思います。過去4戦のような走りができれば、いい勝負ができると思います」と期待を寄せた。負担重量53キロに関する質問にも笑顔で「オーケーです」と応じている。

ムーア騎手は今秋、短期騎手免許で来日していたが、先月19日の京都で落馬負傷。その後は英国に帰国し、治療に専念していた。水曜にハッピーバレー競馬場で行われた「ロンジン・インターナショナル・ジョッキーズ・チャンピオンシップ」で実戦復帰し、さっそく第2戦で勝利を挙げている。

香港国際競走はヴァーズでウォームハート、マイルでカイロ、スプリントでイソップスフェイブルズ、カップでルクセンブルク(すべてエイダン・オブライエン厩舎)に騎乗。再来週には有馬記念(G1、芝2500メートル、24日=中山)でダービー馬タスティエーラ(牡3、堀)とコンビを組むことが発表されている。53キロのライアン・ムーア、どんな手綱さばきを見せてくれるのか楽しみだ。