勢いに乗ってコンプリートへ! 有馬記念を制した武豊騎手(54)が、前人未到のJRA平地G1完全制覇に挑む。唯一未勝利のホープフルS(芝2000メートル、28日=中山)で、2連勝中のセンチュリボンド(牡、庄野)に騎乗予定。年末の中山に再び「ユタカコール」を巻き起こす。

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グランプリVを果たしてなお、レジェンドには年末の大仕事が残されている。JRA平地G1・24戦の完全制覇だ。あとはホープフルSだけ。近年恒例となった話題を振られ、武豊騎手は口角を上げて意気込んだ。

「あと1つまできたらそろえたい。JRAがまたG1をつくるからね。リーチをかけたらつくるから…」

最大の強敵はJRAなのかもしれない。12年に初めて王手をかけ、残すは朝日杯FSのみだった。15年には0秒1差2着(エアスピネル)で達成寸前まで迫った。だが、快挙を果たせないまま17年に大阪杯とホープフルSがG1へ昇格。まさかの「M3」まで後退させられた。それでも同年にキタサンブラックで大阪杯を制し、21年にはドウデュースで朝日杯FSを勝って再び「M1」へと戻した。ちなみに、ホープフルS自体はオープンだった99、06年に2勝を挙げている。

今年はキズナ産駒センチュリボンドと偉業に挑む。2走前には札幌で逃げ切って初勝利へ導いている。

「まだすごいパフォーマンスはしてないけど(未知の要素が多い)2歳だし、どの馬にもチャンスがある。小回りの2000メートルで2勝しているから条件はいい」

2日前の有馬記念では史上最多タイの4勝目を挙げ、JRA・G1・81勝目で自身の最多勝&最年長V記録を更新した。右太もも筋挫傷から復帰2週目で完全復活を果たし、その手綱さばきはさえわたるばかり。競馬史を塗り替え続ける54歳が、今度こそG1トロフィーのコレクションを完了させるか。【太田尚樹】

■センチュリボンド ノーダメージ

センチュリボンドは月曜朝、厩舎で静養して日曜に行われた追い切りの疲れを取った。「変わらず来ていますよ。前回を使った後もノーダメージで何も治療をする必要がなかったです」と蟹江助手は順調ぶりをアピール。「普段は何も手のかからないタイプで、競馬で乗りやすいです。豊さんも昨日(有馬記念を)勝ってくれたし、うまく乗ってくれるので」と名手の手綱さばきにも期待していた。