ダート界に新星が現れた。1番人気エンペラーワケア(牡4、杉山晴)が2勝クラスから3連勝を飾り、重賞初挑戦でタイトルを手にした。

5番手から進め、直線では楽に抜け出した。2着アームズレインに2馬身半差をつけ、勝ち時計は1分24秒1。杉山晴紀調教師(42)は先に発走した京都のシルクロードSをルガルで勝ち、東西のJRA重賞同日Vを達成した。

   ◇   ◇   ◇

2度目の歓喜がすぐ訪れた。シルクロードSをルガルが勝利したおよそ10分後。根岸Sはエンペラーワケアが先頭でゴールを切った。同じ日に2頭を管理する杉山晴師が東西重賞をジャックした。「ジョッキーがうまくいい位置で運んでくれましたよね。ストレスのない道中でした」。ダブル制覇とともに口にしたのは、騎手への称賛だった。

手綱を取った川田騎手はレースぶりをひと言で表した。「完勝だったと思います」。五分のスタートを切ると、焦らず5番手で運んだ。コーナリングもスムーズ。「返し馬の時は前走の方が良かったかなと思いましたが、影響なく大丈夫そうだなと思える走りをしてくれていたので、そのまま順調にレースを進めていきました」。4角を過ぎ、直線入り口で早くもゴーサインを出した。パートナーがその選択をしたからだ。「無理なく動かしてあげようと思って、直線全体を使って競馬をしてきました」と迫る後続を突き放した。重賞初挑戦のタイトル。鞍上は「素晴らしい馬です。重賞に手が届いて当然の馬だと思います」と評価した。

フェブラリーS(G1、ダート1600メートル、2月18日=東京)の優先出走権を獲得した。杉山晴師は「あまり次は考えていませんでした」と答えは出ていない。それでも「フットワークがいい馬で、東京コースは合いますね」と初の府中にも不安はなかった。どんな環境でも結果を出すエンペラーが、ダート短距離界に希望の光をともした。【阿部泰斉】

◆エンペラーワケア ▽父 ロードカナロア▽母 カラズマッチポイント(カーリン)▽牡4▽馬主 草間庸文▽調教師 杉山晴紀(栗東)▽生産者 下河辺牧場(北海道日高町)▽戦績 7戦5勝▽総獲得賞金 9371万6000円▽馬名の由来 皇帝+ハワイの神様の一人。

◆根岸Sのロードカナロア産駒成績 21年レッドルゼル以来の勝利で通算2勝目。JRA重賞は23年12月カペラS(テイエムトッキュウ)以来で通算68勝目。、18年から7年連続勝利となった。