フェブラリーS(G1、ダート1600メートル、18日=東京)に向けた1週前追い切りが8日、東西トレセンで行われ、G1・2戦連続2着のウィルソンテソーロ(牡5、小手川)が好仕上がりを見せた。ボルトが入ったままの脚元を考慮しながらの調整も、きっちりと負荷をかけられた。強敵に食らい付いた経験を生かし、G1初制覇へ挑む。

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ウィルソンテソーロが力をため込んだ。美浦ウッドの直線、鞍上の武士沢騎手(レースは松山騎手)が手綱をぐっと抱えたまま、マニーブルース(3歳未勝利)と馬体を併せた。そのまま併入でゴール。5ハロン73秒7-12秒6と時計は目立たないが、小手川師は「1回骨折しているのでウッドではあまりやりたくないですが、レースまでに1回はやりたかった。時計よりも実戦を想定してやりました」と納得の表情を浮かべた。

能力は計り知れない。デビュー直後に骨折。脚元には今もボルトが入ったままだが、未勝利勝ちから4連勝でオープン入り。昨年4月に田中博厩舎から転厩し、DG競走を3連勝と駆け上がった。師は「今日も担当さんがシャドーロールを準備した段階で追い切りと分かったのか目つきが鋭くなりました。賢い馬で少しずつ筋肉もついてきましたが、まだこれからの馬かなと思います」と、のびしろを見込む。

G1初挑戦のJBCクラシックこそ5着も、続くチャンピオンズCではレモンポップ、東京大賞典ではウシュバテソーロの2着。前者は12番人気、後者は6番人気の評価でも超一線級と互角に戦える力を示した。条件不問も「(田中)博康くんも東京のワンターンがこの馬に合っていると思うと言っていました」と2戦2勝の東京マイルは現状の最適舞台。今回は伏兵から主役へ。「今回はG1ですけど、うちはまだJRAで勝っていないので…」と苦笑いを浮かべる師とウィルソンテソーロが、自然体で持てる力を爆発させる。【桑原幹久】