6日の阪神競馬7Rで落馬し、頭部と胸部を負傷した藤岡康太騎手が10日、死去した。35歳だった。JRAが11日、発表した。坂口正大JRA元調教師が悼んだ。

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なんともつらく、言葉になりません。まずなにより、藤岡康太騎手のご冥福をお祈りいたします。

康太騎手は、私の弟子である浜中と競馬学校の同期生です。それに、彼が所属した宮厩舎は私の厩舎のすぐ後ろでした。厩舎研修に来た時からよく知っていますが、いつもニコニコしていて、嫌な顔をしているところを1度も見たことがない、本当に好青年でした。

宮調教師も本当にいい師匠で、いい厩舎に入ったなと見ていましたし、私自身が定年してからも浜中とともに康太騎手のことはいつも応援していました。その人柄だけでなく、騎乗技術も誰もが認めるところで、21年の京都大賞典でダービー馬マカヒキを復活勝利に導いた時には、よくやった! と自分のことのように喜んだものでした。

競馬の世界に生きるわれわれは、いつも危険と隣り合わせです。レースに騎乗するジョッキーは特にそうです。それは分かっていても、なんともつらいです。本当にいい男でした。【JRA元調教師・坂口正大】