日本競馬界のパイオニア森秀行調教師(65)が2歳戦線を席巻する。今年は新潟での新馬戦5戦全勝をはじめ10戦【5 3 1 1】の快進撃で、今週日曜の新潟2歳S(G3、芝1600メートル、25日)には米トレーニングセール出身のシンフォーエバー(牡)を送り込む。管理馬(19日現在=馬名未登録除く)54頭中47頭が米国産。唯一無二の独自路線を突き進む「マル外軍団」の秘密に迫った。
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常識にとらわれないパイオニアは、65歳の今なお独自の道を突き進む。今年の2歳戦線を席巻する「マル外軍団」。新潟での新馬戦5戦5勝をはじめ、10戦【5 3 1 1】で連対率8割を誇る。厩舎カラーの赤いポロシャツを着た森秀師は「できすぎやね。みんな牧場から(調教で)動いてたけど」と笑いじわをつくる。
“メイド・イン・アメリカ”を貫く異色の厩舎だ。管理馬54頭のうち、なんと87%の47頭が米国産馬。「外国の方が安いからね。円安でも。日本は(価格が)ちょっと異常なところがあるから」。1歳秋から2歳春を狙い、現地のセールで即戦力を買いつける。
特に活躍が目立つのがトレーニングセール出身馬だ。現2歳世代で勝ち上がった5頭は、すべて今年3月のOBS社マーチセール(フロリダ州)で購買された。選ぶポイントはシンプル。「血統は分からんから」と謙遜しつつ「やっぱり(調教供覧の)時計が速い馬」と明かす。実際に、この5頭はセール時にダート1ハロン9秒8~10秒0をマークしている。
コストパフォーマンスも高い。勝利馬5頭のうち落札額1億円超はシンビリーブだけで、残る4頭は3000万~4000万円台。「狙うのは初年度産駒やね。(評価が定まる前で)安いから」。このうち2頭が新種牡馬の産駒だ。
新潟2歳Sには「ウマ娘」で知られる藤田晋オーナー所有のシンフォーエバーを送り出す。米2歳G1馬コンプレキシティの初年度産駒。印象的なのは青い右目だけではない。新馬戦ではハナを切ると、ノーステッキで後続に2馬身半差をつけた。トレーナーが「強かった」と評せば、清水亮助手は「馬の後ろに入れる調教もしているし、どんな競馬でもできそう」と見込む。日本競馬史を何度も塗り替えてきた赤き開拓者集団。その快進撃は夏の越後路だけで終わりそうにない。【太田尚樹】
◆パイオニア森秀師 日本調教馬初の挑戦や偉業を数多く成し遂げている。95年にケンタッキーダービー初出走(スキーキャプテン=14着)を果たすと、98年には仏モーリスドゲスト賞で海外G1初制覇(シーキングザパール)。00年にはジュライCで英G1初V(アグネスワールド)、近年も20年サウジダービーで同国重賞初勝利(フルフラット)を果たしている。

