またもマジックマンだ! 3番人気のエンブロイダリー(森一)が、桜の女王に輝いた。
やや重の馬場をものともせずに突き抜け、勝ち時計は1分33秒1。鞍上のジョアン・モレイラ騎手(41)は昨年のステレンボッシュに続き、史上7人目の桜花賞連覇を達成。前々週の高松宮記念に続いて、早くも今春G12勝目をつかんだ。管理する森一誠調教師(47)は開業2年目でG1初勝利を挙げた。1番人気エリカエクスプレス(杉山晴)は5着に敗れた。
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仁川を覆う分厚い雲が花散らしの雨を降らせた。お昼過ぎにやや重へと変わった芝のコンディションを、モレイラ騎手は確実に見極めていた。「1日乗って、馬場の内の方はあまり通りたくないというイメージだった。内の方が荒れていた」。狙いは定まっていた。
エンブロイダリーはスタートこそ良くなかったが、中団の馬群の中で流れに乗った。直線はわずかに空いたスペースから馬場の真ん中へ。「直線に入って、できれば外に行きたかった。残り200メートルくらいでスペースができて、素晴らしい瞬発力を見せてくれた」。マジックマンの思惑、ドンピシャリ。上がり34秒0の末脚でグイグイと伸びる。2歳女王アルマヴェローチェの追い上げを首差でしのいだ。史上7人目の桜花賞連覇。名手は右腕をブン回して喜んだ。
昨年6月のデビュー戦以来、2度目のタッグ。前回の手綱では2着に敗れたものの、鋭い末脚を披露していた。「新馬戦に乗った時は間違いない能力を見せた。まだまだこれからが楽しみ。日本の3歳の中で、新しいスターじゃないかなと思う」。幾多の名馬にまたがってきた鞍上は、さらなる成長にも期待を寄せた。
開業2年目でG1初制覇となった森一師は「1歳で初めて見た時からいい馬だなと思っていた。こういう最高の結果になることができてすごくうれしく思う」と胸をなで下ろした。
この中間は長距離輸送の負担を減らすために、栗東滞在で調整。技術調教師時代に国枝師から学んだ“牝馬は詰め込みすぎないように”という教えを胸に、現地スタッフとともに丁寧に仕上げきった。陣営が心配していた道悪も問題なし。まさにパーフェクトな1冠だった。
次走はオーナーサイドと相談して決定する。曽祖母ビワハイジは6冠牝馬ブエナビスタの母で同じ一族となる。つながる女王の血筋。令和の世で再びその血が騒ぐ。【下村琴葉】
◆エンブロイダリー ▽父 アドマイヤマーズ▽母 ロッテンマイヤー(クロフネ)▽牝3▽馬主 (有)シルクレーシング▽調教師 森一誠(美浦)▽生産者 ノーザンファーム(北海道安平町)▽戦績 6戦4勝▽総獲得賞金 2億2455万1000円▽主な勝ち鞍 25年クイーンC(G3)▽馬名の由来 刺繍。母名より連想

