牡馬クラシック第1弾、皐月賞(G1、芝2000メートル、20日=中山)の追い切りが16日、東西トレセンで行われた。

「追い切りの番人」井上力心記者は、先週の桜花賞を制した森一誠調教師が送り出すヴィンセンシオ(牡)に注目。状態アップを狙った攻めの姿勢に逆転ムードを感じ取った。

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新進気鋭のトレーナーが送り出すヴィンセンシオが上昇カーブを描く。ウッドの1週前追い切りはステッキを入れ、かなり促さなければ動き切れなかった。ただ、ルメール騎手を背にした今週は同じコースでも一変。3頭併せの真ん中で適度に前進気勢を出しながらも折り合いがつき、ゴールでは内の僚馬に楽々と半馬身先着、外は2馬身突き放した。時計は5ハロン63秒9-11秒6の自己ベストだ。先週は物足りなさを感じていた様子の森一師も動きを見届け、「いい感じに、青写真通りに来ましたね」とトーンが上がった。

G1初参戦でいきなり勝利した先週の桜花賞を含め、JRA重賞は5戦3勝2着1回。大舞台でより輝きを増す森一厩舎の追い切りは、1週前にびっしり負荷をかけ当週は坂路でサラッとが通常パターン。同馬の年明け初戦の弥生賞、栗東に滞在した桜花賞のエンブロイダリーもこのパターンだったが、今回はウッドでの3頭併せを選択した。

森一師 先週息遣いがもうひとつと感じていたし、長めから負荷をかけていきたいと。(先週までに)まだウッドで1本しか時計を出していないので。また、今は坂路よりウッドの方が馬場状態が良くて走りやすい。先週しっかりやったけど大きな疲れは感じられなかった。(追い切り前日は)すごく活気がある中にもイライラせずちょうどいい精神状態です。

良化余地があった先週の動き、当週の馬の心身、馬場状態などを総合的に勘案して柔軟に対応した。弥生賞はやや重馬場でハナを切ったが、途中からまくる馬が出て休み明けとしてはタフなレースになった。その疲れをとっての中5週。状態キープではなく、状態アップを狙う攻めの調整に踏み切った。

「1頭強い相手がいますが、挑戦できる力はあると思っています。ここまでいいステップを踏めているしG1でもチャンスはあると思います」。最終追い切りの全体時計は予定よりやや速まったが、それも攻めた結果。おおむね狙い通りのフィニッシュを遂げた。ヴィンセンシオの上昇ぶりは大本命クロワデュノールにとっても脅威となるに違いない。【井上力心】

◆調教師の同一年桜花賞&皐月賞制覇 過去に1例のみで、1941年に田中和一郎師が達成している。その年は皐月賞(3月30日)が先で、のちに日本競馬史上初の3冠馬となるセントライトが1番人気に応えて3馬身差で快勝した。桜花賞(4月20日)のブランドソールも同じく1番人気で3馬身差の完勝だった。