完全無欠の仕上がりだ! 第92回日本ダービー(G1、芝2400メートル、6月1日=東京)の最終追い切りが28日、東西トレセンで行われた。
調教を深掘りする「追い切りの番人」では藤本真育(マイク)記者が、皐月賞2着から戴冠を狙うクロワデュノール(牡、斉藤崇)を取り上げた。左回りの東京コースで最大限の力を発揮するため、陣営は課題解消に尽力。パワーアップした走りで、ダービーのタイトルを奪い取る。
◇ ◇ ◇
華麗な動きに、視線がくぎ付けになった。午前6時半の栗東トレセン、クロワデュノールが躍動した。終始、余裕のある雰囲気で、Cウッド6ハロン82秒8-11秒2。併せたホーリーブラッサム(3歳1勝クラス)の内から頭差先着した。「先週で(馬は)もう大丈夫だと確認できているので、今週はダメージがなるべく残らないように。動き出しの反応であったり、並びかける時の動きもしっかりとしていました」。ジャッジが慎重な斉藤崇師も笑顔を見せた。
主戦の北村友騎手は「デビューの時から文句をつけるところがない、総合力の高い馬です」と評する。だが、ただひとつ気がかりだったのが、左前脚が右前脚より常に前に出ている「左手前」での走りだった。
トレーナーは「左手前があまり得意ではなくて、直線で手前を何回か替えてしまうことがあります。あまり左手前を出したがらないんですよね」と説明する。左手前の走りを強化できれば、<1>東京など左回りの競馬場でコーナーの加速がよりスムーズになる。<2>直線で必要以上に手前を替えてしまうロスが減る。主に以上2つの利点が生まれる。
そこで陣営は2週前、1週前追い切りと、課題の克服に取り組んだ。「いつもの追い切りでは僚馬の内に入れますが、外に出して、広いところで左手前の力強さを求めました」と斉藤崇師。日ごとにパワフルさが増し、1週前追いでは、3頭併せの外からラスト11秒1。皐月賞の1週前には10秒9の脚を使っているが、当時は3頭併せの真ん中だった。外を回って左前脚が大きく伸びた今回は、前走時以上のスピード感が伝わってきた。またがった北村友騎手も「左手前で力強い走りになっていますし、イメージ通りの調整ができています」とうなずく。もはや、心配材料は何もない。
皐月賞では向正面で他馬に寄られるロスもあって2着に敗れた。ダービーは、誰にも譲れない。世代の頂点へ、態勢は整った。
◆皐月賞2着馬のダービー制覇 過去10年では16年マカヒキ、23年タスティエーラの2勝頭。ダービーも2着だった馬は20年サリオスと22年イクイノックス。【2・2・1・5】で勝率20%、連対率40%、複勝率50%だ。
◆手前とは 東京競馬場のような左回りでは、左前脚が右前脚より常に前に出ている走法(左手前)でコーナーを回り、直線で手前を右(右手前)に替えて加速する。同じ手前で長く走ると疲労するため、直線途中で替えることもあるが、何度も替えるとリズムを崩したり、スムーズな加速を阻害したりする。

