縁に導かれた。BCターフスプリント(G1、芝1000メートル、日本時間11月2日朝=デルマー)にインビンシブルパパ(牡4、伊藤大)を送り出す迫田三果子オーナーは馬主3年目で初の海外遠征。これまでの馬主ライフを振り返り、苦難を乗り越えた愛馬への思いを語った。【取材・構成=桑原幹久】

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突然の始まりだった。競馬に縁がなかった迫田三果子オーナーは22年夏、馬主の友人に連れられセレクトセールへ足を運んだ。「北海道でゴルフを兼ねて、セールには寄ってみる? というくらい。馬主になるとは全く考えていませんでした」。1歳馬の下見に同行し、友人から「どの馬が好き?」と声をかけられ「知識はないですけど、凝る性格なので。真剣に選んでみました」。多数の若駒からピースオブラヴの2021に一目ぼれ。「たまたまチャンピオンズファームさんの生産馬で。3、4000万円ならと思っていたら、カーンと落札できましたね(笑い)」と3100万円(税抜き)で落とした。

ただ当時、馬主資格は持っていなかった。「購入後に『どうすればいいの?』と周りに聞いて、助けていただきました」。22年11月に申請し、翌23年4月に許可が下りた。7月にミカエルパシャとしてデビュー。競馬場自体に初めて足を踏み入れ、高額馬相手にいきなり勝利。最高の形で馬主ライフが幕を開けた。

インビンシブルパパとの出会いもドラマチックだ。23年4月、オーストラリアの1歳セリに参加していたチャンピオンズファームの中村明人社長から連絡が入った。当初1頭購入予定もすでに2頭購入済み。それでも「すごい馬がいます」との一報に「社長がそんなに言うなら」と決断した。

デビュー前の心房細動、2勝クラス勝利後の疝痛(せんつう)で生死を2度さまよったが、24年2月にデビュー(3着)。ダートで頭角を現し、今年の函館スプリントSで腹案にあった芝へ初挑戦。4着でめどを立て、続くCBC賞は不利な大外枠から逃げ切った。初騎乗した佐々木騎手の手綱で迫田オーナー自身、重賞初制覇。「私はけがをしないように、と願っていましたが、みんなが喜んでくれてうれしかったですね」。

次走はBCターフスプリントか芝で世界最高賞金のジ・エベレストから前者を選択。「賞金とかではなく、BCなら得意の左回り。馬がいい形で出走できることが一番なので」と迷いはない。佐々木騎手とのコンビも継続。「何が何でもBCに行ってみたいという意欲、熱い気持ちを感じました。一生懸命になってくれる佐々木くんとならチャレンジしてみたいと思いました」。馬主3年目で初の海外遠征。願いは明確だ。「今までトラブルがあったので、人馬ともに無事でいてほしいです。その中で結果が出て、関わってくださる方々と喜びを共有できれば一番ですね」。

◆迫田三果子(さこた・みかこ)1984年8月4日生まれ、兵庫・神戸市出身。大学卒業後、3年半、英国へ留学。23年4月に馬主資格取得。現在は会社代表、会社役員。休養地の辰美牧場(滋賀・栗東市)代表を務める。勝負服は桃、黒格子、袖黄二本輪。X:@michaelpasha、インスタグラム:@umastagram_mikako