次のミッションは修善寺のあじ寿司と達磨山からの富士山ゲットだ。3月24日に開催された静岡・三島発着のAJ西東京主催「BRM324しおかつお200km」でしおかつおうどんと夕日をゲットして完走。その夜も三島に宿泊し、翌25日にトライした。


達磨山からの富士山の眺め
達磨山からの富士山の眺め

 今回の三島遠征は、行きは輪行だが、帰りは自走する計画を立てていた。せっかく自転車王国静岡へ行くのに日帰りではもったいないし、うまいものも食べたい。


 だが、帰りのコースをどうしようか悩んでいた。箱根越えか、熱函街道で熱海経由か。沼津の「丸天」にも久しぶりに行ってみたい。


 ところが、春分の日の時ならぬ積雪で一部が通行止めとなり、当初予定していた「達磨山コース」は中止。コースは「松崎コース」に変更されて「しおかつおブルベ」は開催された。どこが通行止めかは不明だが、積雪以降は晴れが続き、道路状況も改善されていると予想される。ならば、せめて達磨山へ上ってみよう。途中で積雪があれば引き返せばいい。そう計画を練り直し、ルートを引いてみると三島〜修善寺〜達磨山〜修善寺〜自宅は約150キロ。ブルベ翌日だとちょっと長いし、修善寺までの20キロがかったるそうだ。


 ここで「しおかつおブルベ」の試走報告を思い出した。「伊豆箱根鉄道(修善寺から三島)サイクルトレイン実施しているそうです。スタッフ下見隊の話では輪行袋にしまわずに乗車可能ですが、自転車専用ラックではないのでビミョーとのことでした」(西東京公式HP しおかつお松崎 試走報告)。


 なるほど。自転車のまま乗れるんだ。これで決定。三島から修善寺へサイクルトレインで輪行し、達磨山往復。修善寺に戻ったあとは山伏峠を上って帰ろう。


修善寺〜達磨山〜修善寺〜山伏峠と走ったこの日のコース
修善寺〜達磨山〜修善寺〜山伏峠と走ったこの日のコース

 輪行袋や前日のブルベで来たウエアなどをリュックに詰め込んで宅急便で自宅へ送り、身軽になって午前8時ごろにホテルをチェックアウト。ホテルが北口だったのでぐるりと回って南口へ向かった。


 この日は雲一つない晴れ。気温も高く、まさに絶好のサイクリング日和。ホテルからは富士山も綺麗に見えたのだが、ホテルはエレベーターに乗れないほどの大混雑。仕方ないので、非常階段を7階から歩いて下りた。


 伊豆箱根鉄道駅の窓口でサイクルトレイン利用を告げると、行き先と乗りたい車両(一番前か一番後ろか)を聞かれる。運賃は修善寺まで510円。そのまま自転車を押して改札を通り、一番前の車両に乗り込んだのだが、後ろの方が富士山が見えるのでそちらにすればよかった。発車を待っていると「サイクルトレイン利用のお客様が1名」と車内アナウンスされ、ちょっとびっくり。


 伊豆箱根鉄道のHPによると、平日は午前9時以降午後3時前、休日は午前7時過ぎ以降午後6時前までの三島、修善寺発車が対象。持ち込み台数は1人1台で、1列車6台までとなっている。


伊豆箱根鉄道のサイクルトレイン
伊豆箱根鉄道のサイクルトレイン
自転車そのまま乗車OK
自転車そのまま乗車OK

 車内はガラガラで自転車を立てかけて座席に座ったのだが、電車が揺れると倒れそうなので支えなくてはならないのでリラックスすることはできないが、走るより楽ちんなことに変わりはない。


先頭車両に自転車を立てかけ、支えながら座る
先頭車両に自転車を立てかけ、支えながら座る

 午前8時31分発の電車が修善寺に着いたのは9時8分。途中で何度かすれ違いを待ったりするので意外と時間がかかる。距離は20キロなので走れば1時間。浮いた30分であじ寿司が食べられるぞ。


修善寺到着。左は踊り子号
修善寺到着。左は踊り子号

 ホテルの大混雑で無料の朝食にありつけず、お腹はぺこぺこ。改札を出て左にある小さな売店で「武士のあじ寿司」(1100円)をゲット。「武士」は「ぶし」ではなく「たけし」と読むことを買ってから知った。


修善寺名物のあじ寿司
修善寺名物のあじ寿司
ボリュームたっぷりのあじ寿司
ボリュームたっぷりのあじ寿司
修善寺駅
修善寺駅

 このあじ寿司は修善寺駅の名物駅弁。伊豆近海の地鰺を酢で軽くしめたもので、静岡産のこしひかり、松崎の桜葉、天城の山葵など伊豆の恵みがたっぷり。腹ぺことはいえ、まだ朝なのでボリュームたっぷりの弁当に最後の方は少し苦しくなったが、満足のおいしさだった。駅前のベンチで食べたのだが、駅前の「駅弁カフェ たけし」で食べてもいいようで、次はそっちでゆっくり食べよう。


 満腹になり、いよいよ達磨山ヒルクライム開始。距離は修善寺駅から約12キロ。標高は625・7メートルで修善寺駅からは570メートルほど上る。


 狩野川を渡り、昨日は散々待って右折した横瀬交差点をこの日は待つこともなく直進。すると上りがいきなり始まった。修善寺インターを過ぎると、道幅が細くなりにぎやかな町並みが広がってくる。右手には神社。なるほど、ここが修善寺の温泉街なんだ。予備知識なしで来てしまったので驚いた。まだ午前中なので観光客はそれほど多くない。


 温泉街を抜け、北又の集落を走る。こう配はまだ緩やかなので楽に上って行ける。T字路に出たので左折。帰りに間違えないように周囲の風景をしっかり記憶したが、あとで地図で確認すると間違っても修善寺には行けたようだ。


 道幅は車がぎりぎりすれ違えるほど。修善寺駅から7キロを過ぎ、集落が途切れたあたりからこう配がきつくなってきた。やがてぐいっと上る右へのヘアピンカーブ。これをダンシングでしのぎ、上りきると国道のような太い道にぶつかる。


林道のような狭い道の上り
林道のような狭い道の上り
道幅の広い片側一車線の道路にぶちあたり、ここを上って行く
道幅の広い片側一車線の道路にぶちあたり、ここを上って行く

 山の中にいきなり立派な道が現れたのでびっくりしたが、この道も後で調べると、修善寺温泉につながる道だった。


 左折した直後は緩やかだったが、だんだんときつくなってきた。必死で上っていると、おしゃべりしながら楽しそうに上ってくる女性ライダー2人にあっさりとかわされた。だが、いい目標ができ、引いて貰う形で離れないようついていった。最後は2人のうち、ヒルクライム向きのスリムで小柄な体型の女性が抜け出し、先頭で達磨山レストハウスにゴールした。後で確認すると、T字から約3・5キロ、平均こう配は約7%だった。


達磨山レストハウス手前
達磨山レストハウス手前

 レストハウスからは富士山がば〜ん。上った甲斐のある風景が広がっていた。


達磨山レストハウス到着
達磨山レストハウス到着
富士山ゲット!
富士山ゲット!

 達磨山レストハウスへの登坂は、きついところもあるが足を休められる緩いこう配がいくつかあり、全体的にはそんなに厳しいものではなかったかなという印象。もちろん終盤は峠の原則通りきつくなっている。


 戸田峠は1・5キロほど先でそこから西伊豆スカイラインとなるが、この日はここで打ち止め。楽しみは来年のブルベにとっておこうと思い、修善寺へとUターンした。同じ道を引き返したのだが、温泉街の一部は一方通行(軽車両は通行可)だったこともあり、下りは途中の分岐を曲がらず、広い道をまっすぐ行っても良かった。というか、そっちの方が気持ち良さそうだ。


 修善寺駅のセブンイレブンで飲料補給。山伏峠を目指す。修善寺駅からは13キロ弱で平均こう配は5%弱。こちら側からは初めて上る。3度上った伊豆多賀側からだと6キロ弱で平均こう配は8%。ほぼダンシングで上らなければならないほどのきつさに比べると、修善寺側からの方が楽そうだ。


 前日のブルベで気持ち良くダウンヒルしてきたサイクルスポーツセンターからの下りを上り返す。こう配は緩やか。日差しを浴びながら黙々と上る。途中のサイクルスポーツセンターへの分岐は曲がらずに直進。右折すると、亀石峠を経て宇佐美に下ることになる。


 途中でいったん下り、県道135号とぶつかる交差点を右に行く。「山伏峠」の標識があるので迷いようがない。


 右折した後からこう配はややきつくなり6%ほどになる。そして、峠の原則の通り、ピーク直前の数百メートルは10%前後。簡単には上らせてくれない。


伊豆の山伏峠
伊豆の山伏峠

 最後はダンシングで山伏峠のピークへ。さすがに疲れた。真鶴旧道を上るのはやめようと決めた。


 修善寺をスタートしてここまで峠ざんまいの37・5キロ。自宅までは国道135号から国道1号でほぼ平たんな85キロ。帰ったも同然だ。


桜を見ながらダウンヒル
桜を見ながらダウンヒル

 帰りの道中では桜を楽しみながらのんびりと走り、午後4時過ぎに帰宅。走行距離は122・7キロで、グロスの平均時速は16・9キロ。獲得標高は2329メートル。2日間とも天気に恵まれ、サイコーなサイクリングを楽しんだ。【メディア戦略本部 石井政己】