故郷岡山をロードバイクで初めて走った。まずは鷲羽山(わしゅうざん)に上り瀬戸内と瀬戸大橋の絶景を堪能。ここから瀬戸内の海岸線を走る平たんルートで「日本のエーゲ海」牛窓を目指した。


「日本のエーゲ海」牛窓
「日本のエーゲ海」牛窓

鷲羽山から下るとあっという間に海岸線。児島ボートレース場を過ぎると、ジーンズで有名な児島市街地に出る。下津井電鉄の児島駅跡もある。前回で走った廃線跡の自転車道は水島から先もあり、この旧児島駅から旧下津井駅までの区間(6・3キロ)は「風の道」として整備され、琴海駅や鷲羽山駅からは瀬戸大橋や瀬戸内を一望することができるという。茶屋町〜水島間よりこちらの方が見どころがあるようだが、今回は鷲羽山スカイラインをどうしても走りたかったので見送った。

ジーンズストリートもいいが買っても持って帰れないので、その近くにある味野(あじの)公園に寄ってみることにした。ちょっと迷ったが、ウロウロしていたらたどり着いた。これがサイクリング旅のいいところ。ここは日本の昔の橋をテーマとする「橋の公園」で、ロープウエーのような「吉野の野猿」、空を歩くような「飛越の堺 つりはし」、水に浮いて渡る「かうつけ佐野ふなはし」など、へぇ〜と思うような橋があり、長いサイクリングのひとときをなごませてくれた。


「飛越の堺 つりはし」
「飛越の堺 つりはし」

「かうつけ佐野ふなはし」
「かうつけ佐野ふなはし」

半分は石橋、半分は木橋の「えちぜん福井の橋」の前で記念撮影
半分は石橋、半分は木橋の「えちぜん福井の橋」の前で記念撮影

その後は向かい風と戦いながら国道430号を走り、市街地を抜けると右手に瀬戸内を臨む、気持ちの良い海岸線に出る。海は波もなくおだやか。これを見て育ったので、遥かに水平線が見え波が激しく押し寄せる湘南の海を見た時は少なからず驚きを覚えたことを思い出した。


左手すぐには山が迫っているところもあり、途中には巨岩・奇岩が見られるという標高234メートルの王子が岳や、山の中にあるおもちゃ王国などへの分岐がある。この先の渋川海水浴場をはじめ、このあたりはこどものころによく連れてきてもらった。当時は何も思わなかったが、自転車乗りとして来てみるとこのあたりは坂の宝庫だったことに気がつく。坂バカにとってはたまらないね。


王子が岳、おもちゃ王国への分岐
王子が岳、おもちゃ王国への分岐

玉野市渋川付近から瀬戸内を臨む
玉野市渋川付近から瀬戸内を臨む

倉敷、玉野は自転車にやさしい町なのか、鷲羽山スカイラインでは「鷲羽山へ○キロ」、鷲羽山を下ってからは「宇野へ○キロ」と自転車マークとともに路肩の路面にペイントされた標識があった。それがJR宇野駅を過ぎると「美観地区へ30キロ」に変わった。ちょっと遠すぎないかい? それに方向が大ざっぱだ(^_^;


JR田井駅付近を児島半島へ向かって右へ曲がると、今度は「後閑」という初めて聞く地名が路面の道しるべに現れた。あとで調べると、この先にあるらしく「瀬戸内の多島美が楽しめ、海岸道路沿いにはおしゃれなカフェが点在している」ということだった。その通りで、後閑を含め右手に瀬戸内を眺めながら児島半島を回る県道74号(倉敷飽浦線)は気持ちが良かった。ブルベルートさまさま。ほとんど人や車もいないし、それに平たん。ただおしゃれなカフェには気がつかなかった。


県道が飽浦(あくら)交差点にぶつかり、左折してトンネルを抜けると児島湾大橋。車道は自転車通行禁止なので歩道を走る。橋を越えて右手へ行くと百間川(ひゃっけんがわ)ふれあいロードとなり、九蟠(くばん)へ出る。近くにはJ2ファジアーノ岡山の練習場(政田サッカー場)がある。周辺はのどかな田園地帯なので、夜は練習場だけ明るく光っているのが遠くからでも見えるそうだ。またこのあたりは埋め立て地なので海抜はマイナス0・3メートルとなっている。


児島湾大橋
児島湾大橋

岡山市九蟠。右手は児島湾
岡山市九蟠。右手は児島湾

この後は吉井川を渡るために西大寺まで北上してから牛窓を目指す。もとは牛窓町だったが、邑久(おく)郡、長船(おさふね)町と合併して04年から瀬戸内市となった。「日本のエーゲ海」というキャッチフレーズは82年から使用。温暖な気候と、牛窓から見える瀬戸内海の海に島が多いことがエーゲ海と似ていると命名されたという。


牛窓到着は午後0時過ぎ。走行距離は120キロ。腹ぺこでランチ予定にしていた「あなご料理専門店 青島」に飛び込んだ。注文したのは厳選肉厚の上あなご重。数量限定なので予約していたため、途中で腹がグーグー鳴っていても「あなごあなご」と呪文を唱えて我慢し、途中のコンビニにストップすることなくここまでペダルを回してきた(^_^;


牛窓へ向かう
牛窓へ向かう

「日本のエーゲ海」牛窓
「日本のエーゲ海」牛窓

「日本のエーゲ海」牛窓
「日本のエーゲ海」牛窓

あなご料理専門店「青島」
あなご料理専門店「青島」

「青島」の肉厚あなご重
「青島」の肉厚あなご重

満腹となった後はオリーブ園へ向かったのだが、とんでもない坂が待ち受けていた。海岸線から左折してしばらくすると、こう配10%超えの壁が現れた。食後すぐに走るところじゃない。腹ごなしにはきつ過ぎるぞ。ピークとなる恋人の聖地の幸福の鐘までは1・7キロ。平均こう配8・8%で最大は13・5%。恋の道は厳しい。鐘は「ゆっくりと心を込めて3度鳴らしましょう」とあったが、鳴らすとびっくりするほど大きな音がしたので1度でやめた。


鷲羽山より高い標高150メートルの展望台からの眺めだが、この日は曇り空だったこともあっていまひとつ。晴れていれば絶景なんだけどなぁ…。ここまで上った甲斐もなく、ちょっと残念だった。


ピークとオリーブ園手前のレストランにはバイクラックがしっかり置いてあった。ここへ来るまでも何人かとすれ違ったし、岡山の定番コースなんだろう。すれ違ったほぼ全員が挨拶してくれたのは嬉しかった。


オリーブ園への分岐
オリーブ園への分岐

オリーブ園・恋人の聖地にある「幸福の鐘」
オリーブ園・恋人の聖地にある「幸福の鐘」

オリーブ園から瀬戸内を臨む。遥かに小豆島
オリーブ園から瀬戸内を臨む。遥かに小豆島

これが「日本のエーゲ海」
これが「日本のエーゲ海」

この後はいったん下り、ブルベルートにのっとり「道の駅 一本松展望園」を往復した。オリーブ園から海へ向かって豪快に下る途中の分岐を曲がらなきゃいけないのに、下までズドーンと気持ち良く下り切ったのは、まあ仕方ないか(^_^; 激坂を上り返し、途中を左折してオリーブロードへ入った。途中でこのあたりには不似合いな洋風の公園を発見。「ミティリニ広場」で、エーゲ海に浮かぶレスボス島の中心都市ミティリニ市と友好都市となり、姉妹縁組15周年の平成9年に整備されたそうだ。


オリーブ園からの海へ向かう下り
オリーブ園からの海へ向かう下り

ミティリニ広場
ミティリニ広場

一本松へも最後は距離は1キロと短いが激坂が待っていた。ここは道の駅といっても高速道路の岡山ブルーラインのサービスエリアみたいなもの。どうやって入ればいいのか、いや自転車が入っていいのかどうかも分からず困った。「展望園」なのでさぞや良い景色が拝めるのだろうと期待したが、ここも曇り空で「絶景」とはならず。やはり瀬戸内はこどもの頃から見慣れた風景でもあるので、評価はどうしても厳しくなる。


道の駅一本松展望園へ
道の駅一本松展望園へ

一本松展望園
一本松展望園

一本松展望園展望台
一本松展望園展望台

帰路は遠回りして牛窓の海岸線を走るコースとなるのだが、これが最高だった。山の中のアップダウンが続き嫌気がさしたころに突然、目の前に海が広がって海水浴場が現れるなど楽しませてもらった。オリーブ園、一本松の激坂連続2本は許せないが、ここのアップダウンは許す(^o^) 


おだやかな瀬戸内
おだやかな瀬戸内

西脇海岸通り
西脇海岸通り

吉井川を渡って西大寺まで帰った後は、そのまま東へ向かい百間川、旭川を渡り、アウターで上れた東山峠も越えて岡山市街地へとフィニッシュ。


岡山ブルベのコースをアレンジしながら久々にキューシートを作って走った182キロ。獲得標高は1551メートル。ネットの平均時速は20キロぐらいだったが、思い出に浸る時間もあったので11時間35分(グロス平均15・6キロ)もかかってしまった。でも故郷岡山の新しい風景を見ることができた。いいライドだった。


残念だったのが牛窓で「しおまち唐琴通り」まで足を伸ばせなかったこと。黒島ヴィーナスロードも見てみたかった。帰ってから思い出した。次回は「晴れの国 岡山」らしい天気の良い日に絶景を拝みに行こう。【石井政己】