今日一日はE-Bike(ミヤタのロードレックス)に乗ってみようと思っている。僕が住んでいるのは神奈川県相模原市中央区。都心へ勤務する人がほとんどのベッドタウンだ。周辺は完全に住宅地だが、自然が残る丹沢大山や相模湖までは20~30キロの距離。バイクや車で行ったらあっという間だが、自転車で走るにはちょうどいい距離かもしれない。

来年還暦の僕が自転車で気軽に走り回れる、ちょうどいい距離かはわからないが(笑い)。


宮ケ瀬ダムに到着
宮ケ瀬ダムに到着

グーグルマップで周辺のスポットを検索。宮ケ瀬ダムの鳥居原湖畔庭園までのルートを検索すると自宅から約25キロ、往復50キロ。E-Bikeで初めて走るのはちょうどいい距離であることがわかった。

よし、宮ケ瀬ダムへ行こう!

朝6時起床。ウインドブレーカー、タオル、六角レンチ、スマホ。最低限のものをバックパックに詰め込む。自転車用のヘルメットはオートバイのような義務ではないし、キノコみたいでカッコイイとは思えないが、安全のためにかぶっておく。

6時半出発。9月下旬。長かった残暑もようやく収まり、ここ数日は過ごしやすい気温になってきた。朝の気温は20度、少し肌寒く感じるが、E-Bikeをこぐにはこれぐらいがいい。見慣れた道を鼻歌交じりで進んで行く。

県道54号と63号をつないで相模川へ向かう。基本下り坂がほとんどなので、まだまだ余裕たっぷり。下り坂でスピードが上がるとオートバイと違い車体が軽いので恐怖感がある。少しでも気を抜いたらどこかへ飛んでいきそうなので、ハンドルを強く握り、ペダルの足にグッと体重をかける。

相模川にかかる高田橋を越えるといよいよ上り坂が始まる。ここまで最もアシスト力の弱いECOモードで走っていたが、さすがにきつくなったのでNORMALモードにチェンジ。それでもつらいのですぐにHIGHモードへ(笑い)。モードチェンジはハンドルの近くにあるボタンをプッシュするだけなので簡単。さらにシフトチェンジでギアを変えてペダルを軽くしてこいで行く。


人気のない川沿いの道路を行く
人気のない川沿いの道路を行く
足元に彼岸花が咲いていた
足元に彼岸花が咲いていた

ハアハア息が荒くなるが、どうにか立ちこぎまではいかずに上り切ることができた。少し先のコンビニに入り、おにぎりとお茶で朝ごはんにする。ひと汗かいた後なのでおいしく感じる。家を出てまだ1時間もたっていないが、車やオートバイにはない、体を動かして進んで行く気持ちよさを感じる。「これ、この感じだよ…」とにやけている自分に気が付く。

再びE-Bikeにまたがり、走りだす。

国道412号に入ると再び上り坂が現れる。傾斜に合わせてギアとモードをチェンジする、一番いい組み合わせはどれか模索しながら、同時にペダルをこぐ。基本は自転車なので体力勝負だが、できるかぎりストレスがなく、体力消耗も少なく上りたいので、いろいろ試してみる。

ブレーキレバーを倒してギアチェンジをするのだが、慣れていない動作なので間違えて逆方向にシフト、いきなりペダルが重くなり停まってしまった。あはは…と苦笑いをしながらHIGHモードに変えてギアも軽くする。初めてギア付き自転車に乗った時のような、新鮮な気持ちになる。

国道を離れ一般道に入るといきなり急坂。普通の自転車だったら立ちこぎ必至の急勾配だが、電動アシストのおかげで何とかそこまでいかずに上って行ける。それでもオートバイに比べると圧倒的に疲れる。僕は30年間以上オートバイで旅したので、オートバイと比べてしまう癖があるようだ。息もかなり荒くなるが、ゼイゼイ息が上がるまで行かずに上りきることができた。「よっしゃっ!」

トンネルに入ると思ったよりも暗く、心細く感じる。車が走っていないので、聞こえるのはペダルをこぐ音とアスファルトを走るタイヤの音だけ。空気の冷たさが肌に直接伝わってくる。周りにある全てがとても近くに感じる。それはまさにオートバイでは感じることのできない世界だった。

トンネルをいくつか抜けると宮ケ瀬ダムが現れた。

宮ケ瀬ダムは2000年に完成した高さ156メートルを誇る首都圏最大級のダムで、都心から約50キロとアクセスが良いため休日になると多くの観光客が訪れる。宮ケ瀬湖畔・ダムサイト・鳥居原エリア内の3エリアを結ぶ遊覧船「ミーヤ丸」、迫力満点の「観光放流」、巨大なもみの木のクリスマスツリー・イルミネーションなどが知られている。


宮ケ瀬ダムによってできた宮ケ瀬湖
宮ケ瀬ダムによってできた宮ケ瀬湖

鳥居原湖畔庭園に到着
鳥居原湖畔庭園に到着

ミヤタのロードレックスと僕
ミヤタのロードレックスと僕

速度や走行距離などがわかるサイクルコンピューター
速度や走行距離などがわかるサイクルコンピューター

ダム湖を右手に見ながらペダルをこぐ。たくさんの飲食店が並ぶ「宮ケ瀬水の郷」に到着。開店前のため人影もなく、眠ったように静まり返っている。公衆トイレで用を済ませ、ベンチでドリンクタイム。一休みすると目的地の鳥居原湖畔庭園へ向かった。ゆっくりと虹の大橋を渡ると10分ほどで到着。朝9時だというのに、広い駐車場は個性豊かなスタイルでオートバイを楽しむ人たちであふれ返っていた。


少し慣れたところにE-Bikeを停め、到着を味わうように景色を眺めた。オートバイで何度も来ているが、E-Bike(自転車も含めて)で来たのは今回が初めて。この道程がこんなに楽しいと感じたことはなかった。それは初めて乗るE-Bikeのせいなのか? 思ったよりも体力を使わなかったからなのか? それとも体を使って移動することが単純に楽しかったからか? 周りの景色が近くに感じたから? 

きっとその全部だろう。

何度も走り見慣れた道をE-Bikeは一気に別世界に変えてくれた。僕はこれから始まる旅がますます楽しみになった。