待望のE-Bikeを入手したので、早くどこかへ出かけたい。天気予報を見ると7日後の祝日が良さそう。次はどこへ行くかだ。そういえば、バイクの引き取りのとき、かなり無理矢理だが車に積んで自宅まで持って来た。ということは、同じように車に積んで遠くまで行き、その周辺をE-Bikeで走るのも可能ということ。これはかなり自由度が広がった。

地図を広げると奥多摩、秩父、富士五湖、伊豆半島、三浦半島などなど、車を使えば行けそうな場所がたくさんあった。さあ、どうする!? これからどんどん寒くなるので暖かい海沿いは先に取っておいて、まずは北部の秩父へ行ってみよう。


今回は車にE-Bikeを積んで秩父まで来た
今回は車にE-Bikeを積んで秩父まで来た

当日の朝。僕の車は軽自動車のハスラー、狭いので積み込みに苦労するかと思ったら、前後輪を外すとスムーズに載せることができた。今回はフレームを横倒しにしたが、スペース的には縦位置でも積めそう、次はもっといい方法を考えよう。

朝6時に家を出て、相模原ICから圏央道に乗り、青梅ICで降りる。飯能を経由して国道299号に入り秩父を目指した。正丸トンネルを抜けてしばらく下ると左手に「道の駅果樹公園あしがくぼ」が見えてくる。この日は祝日、駐車場には朝8時だというのにすでにツーリングのオートバイが10台くらい止まっている。駐車場に車を止めて、E-Bikeを降ろす。


11月下旬だが場所によっては紅葉が残っていた
11月下旬だが場所によっては紅葉が残っていた

実は秩父へ来たものの、どこをめぐるかはまだハッキリ決めていない。計画性なのに、行き当たりばったりが僕の特徴なのだ(笑い) とりあえず町の中心部、「番場通り」へ行ってみようか。「番場通り」は秩父神社の参道で周辺には店が多く、大正後期から昭和初期の古い建物が残っているらしい。

早朝の番場通りは人影もなく静かだった。秩父はオートバイで何度も来ているが、いつも国道で通過するだけ、こんな風に秩父の町を散策するのはこれが初めて。これもE-Bike旅を始めたおかげ。歩くような速度でゆっくりペダルを踏んだ。

石畳の通りをしばらく進むと、角地にいい雰囲気の木造建築を見つけた。「小池煙草店」だ。昭和初期の建物で窓枠や装飾がレトロチック。向かいの特徴的な建物も古いようで大正時代の物らしい。秩父にこんな風景があったことを知り、新鮮に感じる。さらに路地に入って行くと、小さなショーウインドーがあり、近年見なくなったオムライスやカツカレーなど食品サンプルが並ぶ食堂があった。ここは「カフェパリー」。かなり貴重な建物のようで、外壁に”登録有形文化財”と記された標識が貼られている。


ノスタルジーな小池煙草店
ノスタルジーな小池煙草店

カフェパリーの食品サンプル
カフェパリーの食品サンプル

オムライスがおいしいらしい。営業時間前なのが残念
オムライスがおいしいらしい。営業時間前なのが残念

町の奥に入り込むだけで、たくさんの発見がある。その後も町中をウロウロ、歴史を感じる古い建物を見つけては写真を撮った。重厚な蔵があったり、古い銭湯があったり、趣のある狭い路地があったり、神社があったり… 童話の新しいページをめくるような気分でペダルをこいだ。


こんな景色にも哀愁を感じる
こんな景色にも哀愁を感じる

日差しが暖かくなってくると、体を動かしたくなってくる。国道140号を西へ13キロ走ったところに秩父鉄道の終着駅「三峰口駅」あることを思い出した。丁度いい距離なので、途中の駅に立ち寄りながら向かうことにした。

国道140号、午前中なのでまだ交通量は少ない。路肩を時速20キロ弱で進んで行く。紅葉シーズンは終わりに近づいているようで、色付いている木もあるが、半分以上は枯れ枝になっている。冬が近いことを実感する。周りの景色を見ながら気持ちよく走っていたら、1時間ほどで三峰口駅に到着した。パステルグリーンに塗られた木造駅舎がロマンチック。以前にも来たことがあるのだが、この駅は何度来てもいい。鉄道ファンではないけれど、古い駅舎がとても好きなのだ。


絶景を横に眺めながら進んで行く
絶景を横に眺めながら進んで行く

駅前で自転車を組み立てている人がいたので声をかけてみる。都内から輪行で、1泊2日の予定で秩父周辺をのんびりめぐる予定だと教えてくれた。おしゃべり好きな僕は旅先で地元の人や旅人といろんな話をするのだが、コロナ感染を考えるといまの時期は気軽に声をかけることはできない。短い会話だったが、旅の瞬間を感じるいい時間だった。【藤原かんいち】


秩父鉄道の武州日野駅にて
秩父鉄道の武州日野駅にて

民家の庭先に置かれていた真っ赤な唐辛子
民家の庭先に置かれていた真っ赤な唐辛子

三峰口駅の駅には鉄道むすめの看板も
三峰口駅の駅には鉄道むすめの看板も