長野県の旅、第2弾、今回の舞台は「ビーナスライン」。ツーリングやドライブが好きな人なら誰もが知っている、人気の山岳ルートだ。長野県茅野市の中心部を起点に蓼科、白樺湖、車山高原、霧ケ峰高原、扉峠などを経由して美ケ原高原まで続く、全長約75キロの道。
ビーナスラインは展望台から眺める絶景はもちろん、道路から外れて大自然の中をトレッキングも楽しめるし、高原美術館でアートに触れることもできる。またキノコやそばなど旬の食も堪能できる。そんな魅力満点のビーナスラインをE-Bikeで初ツーリング。今回は時間的に全線走行は無理なので、一部だけでも楽しめたらと思っている。
スタート地は霧ケ峰高原ドライブイン。広い駐車場にレストラン、霧の駅や霧ケ峰ビーナスが並ぶ、ビーナスライン有数の休憩スポットだ。ここに車を止めて、載せていたE-Bikeを外に出す。駐車場の一角にテントとベンチが出ていて、そばや串焼きののぼりがはためいている。その中で気になった「じゃがバター」を購入。温かいじゃがいもにバターをたっぷり塗り、椅子に座って景色を眺めながらパクリ。「うんま~い! そう、結局こういうシンプルなのが、一番いいんだよなぁ」ひとり言を呟きながら、雄大な霧ケ峰の景色を眺めた。
時計を見ると昼の12時半。ヤマハYPJ-TCは大容量バッテリーなので半日で使い切ることはないと思うが、ビーナスラインはアップダウンが多いので、念のためバックに予備バッテリーを積んでおく。秋は日照時間が短いので4時半にはここへ戻ってきたいところ。準備が整うと、美ケ原高原方面へE-Bikeをこぎ出した。
すすきの平原がどこまでも広がっている、空が大きくて気持ちがいい。走りだしてすぐにE-Bikeで来て良かったと思った。しばらく進むと山の斜面地になり視界が広がった。周りの山々が良く見える。ペダルを止めて、しばし紅葉に染まった山々を眺めた。
今日は土曜日ということもあって、排気音を響かせながら、次から次にオートバイがやって来る。ビーナスラインはライダーの聖地でもある。実際に僕も、これまで何度もオートバイで来ている。これまでは一気に走り抜けていた道だが、今回はE-Bike、景色を味わうようにペダルを踏んだ。
和田峠を過ぎ、次の休憩ポイント「大展望台・三峰茶屋」に到着。ここで小休憩。眺めのいい丘の上に売店があり、観光客が名物のきのこ汁やソフトクリームなどをおいしそうに食べている。売店から少し離れた丘に登ると浅間山や三峰山、八ケ岳、美ケ原の山々などが一望。これぞ絶景。高原の空気を胸いっぱいに吸い込むと、再びE-Bikeに跨った。
登り坂が多いので、徐々に心地よい疲れがたまって行く。最も強力なアシストを使えるHIGHモードなので、それなりに余裕があるけど、これが自転車だったどうなのかな? 景色を見る余裕などないのだろうか? そんなことを考えながらペダルをこぐ。
14時半、松本方面へとの分岐にある扉峠駐車場に到着した。車を数台止まられる駐車スペースがあるだけで、売店や販売機もない、素朴な扉峠駐。ここで携帯していたチョコレートを取り出し栄養補給。ここまで2時間、思ったより時間がかかっていることがわかった。結構、途中で写真を撮ったり、景色を眺めたりしていたからなぁ。残り時間を考えて、ここから引き返すことにする。
ペダルをこぎながら、いつのまにか“特別なものはいらない、青い空と自然豊かな山々がある、それだけで十分なんだなぁ…”そんな気持ちになっていた。帰路は走りに集中したので思ったより早く霧ケ峰高原ドライブインへ着いた。このまま帰るのは名残惜しいので、反対側方向へ数キロ走ったところにある「ころぼっこるひゅって」へ向かった。ここは数年前にビーナスラインへ来たときに偶然見つけた、丘の上に立つ小さな山小屋で、また行きたいと思っていた場所だった。
着いたのは16時すぎ。営業時間を過ぎているかもと思いながらカフェの人に尋ねると、まだオーダー可能だという。おおっ、ラッキー♪ 寒いので薪ストーブがある店内にと考えたが、景色を眺めながらホットドリンクもいいなと思い、オープンテラスに席を取った。風は少し冷たいが、体が温まっているので、ちょうどよく感じる。
しばらくするとホットココアが運ばれてきた。「ごゆっくりどうぞ♪」マスターの言葉が、ココアをさらに温かくしてくれた。スマホで自撮りをしてると、マスターがやって来て「撮りましょうか?」と申し出てくれた。「後ろからかっこ良く、お願いします♪」「あはは、まかせてください!」たわいもない会話が嬉しい。コロナの影響から減っていた旅先での触れ合い。こんな時間が旅なんだよ、改めてそう思った。
■走行距離:44.7km
■バッテリー消費:66%
<ルート>