かつて野茂旋風が巻き起こったドジャースには、現在は前田健太とダルビッシュ有の2人の日本人投手が所属しています
かつて野茂旋風が巻き起こったドジャースには、現在は前田健太とダルビッシュ有の2人の日本人投手が所属しています

 ダルビッシュのドジャースへの電撃移籍で盛り上がるロサンゼルス(LA)。この夏休みには前田健太投手も在籍するドジャース観戦を計画している人も多いのでは?! 野球ファンでなくても、一生に一度は本場でメジャーリーグ観戦してみたいもの。本拠地となるドジャー・スタジアムは、オープンから今年で55周年を迎えた全米でも歴史のある古い球場の1つで、メジャー有数の美しい球場として知られています。せっかく行くなら野球観戦だけじゃもったいない! ということで、ドジャー・スタジアムに魅力をたっぷり紹介します。

デイゲームは青空の下でとっても気持ちよく観戦できますが、日差しが強いので帽子や日焼け止めは必需品です
デイゲームは青空の下でとっても気持ちよく観戦できますが、日差しが強いので帽子や日焼け止めは必需品です

 まずは歴史から。ドジャースは1984年の創設以来、ニューヨーク州ブルックリンを本拠地としていましたが、1958年にロサンゼルスに本拠地を移転。当初は1932年のロサンゼルス五輪の会場となったロサンゼルス・メモリアル・コロシアムを本拠地としていましたが、翌年にロサンゼルス市がドジャー・スタジアムの建設を決め、住民に強制立ち退きを命じたことから当時は大きな社会問題になったといわれています。なんとかスタジアムが建設されたのは移転から5シーズン目で、1962年4月10日のホーム開幕戦となった対レッズ戦がこけら落としとなりました。ちなみに全米で最古の球場として知られるのが1912年に完成したボストンのフェンウエイ・パークで、ドジャー・スタジアムはシカゴのリグレー・フィールド(1914年建設)に次ぐ3番目に古い球場です。

 年間を通じて雨が少なく、晴天に恵まれるLAの球場らしく、開放的な雰囲気が味わえるのが特徴。ダウンタウンの北にある小高い丘の上にあるスタジアムは、青空と天然芝生のグリーンのコントラストがとてもきれいで、外野席の後ろにはパームツリーが並び、その背後にはサンガブリエル山脈を眺めることができます。デイゲームでは日光が燦々と降り注ぎ、試合が終わる頃には真黒に日焼けしてしまうほど暑いですが、ナイターともなると一気に気温が下がって肌寒くなり、周辺には霧が立ち込めることも。特に開幕直後やポストシーズンの頃はダウンジャケットや毛布などを持ちこんで観戦する地元の人を見かけて驚く人もいますが、試合が長引くと防寒をしっかりしないと寒くて耐えられないということも珍しくありません。

 ドジャー・スタジアムに来たら絶対に外せないのが、名物ドジャードッグ。全米の球場の中でもっとも売れているホットドッグとして知られるドジャードッグは、スタジアムがオープンした62年に売店を担当していた職員が発案したもので、長さ10インチ(25・4センチ)のポークソーセージをパンに挟んだもの。ビーフ100%のスーパードジャードッグもあります。お好みで玉ねぎのみじん切りとラディッシュを好きなだけトッピングができ、ケチャップ、マスタードも用意されているので自分好みの味付けができるのも人気の秘訣です。地元の人はこのドジャードッグにフライドポテトにガーリックがたっぷりとのったガーリックフライ、ビールの3点セットが定番です。パンからソーセージがはみ出す豪快なドッグですが、ソーセージそのものはあっさりしているのであっという間に完食できます。ちなみに、ビールはアメリカの人気ブランドから地ビールまで楽しめますが、1回に購入できるのは1人2杯まで。また、7回が終わるとビールの販売は終了します。その理由は、ほとんどの人が車で来ているためだといわれています。せっかく最後に盛り上がってもビールが買えないとならないよう、早めに購入しておくと良いですよ。

5万6000人収容のスタジアムは、アメリカらしい雰囲気を存分に楽しめます。駐車場からスタジアムまで歩いて5分以上かかるほど広大なのも、LAならでは
5万6000人収容のスタジアムは、アメリカらしい雰囲気を存分に楽しめます。駐車場からスタジアムまで歩いて5分以上かかるほど広大なのも、LAならでは

 車社会のLAではほとんどの人が車でスタジアムに行きます。そのため、5万6000人収容のスタジアムを取り囲むように巨大な駐車場があり、日本から来た人はびっくりすると思います。試合前は丘の上にあるスタジアムに通じる道はどこも大渋滞。わずか数キロの道のりに1時間以上かかることも珍しくなく、試合後もスタジアムから出るだけで1時間なんてこともざら。そのため、地元の人は最後まで試合は見ずに試合の行方がはっきりすると、8回頃から帰り支度を始める人も少なくありません。レンタカーで行く予定の人は、渋滞を考慮して早めに出かけること。また、スタジアムまでの歩く距離によって駐車料金が異なるので注意が必要です。でも、車がなくても行けるので心配は無用。チケットを持っていれば、ダウンタウンのユニオンステーションから無料のシャトルバスに乗ることができます。バス専用レーンを走るので渋滞もなく、試合の1時間半前から10分おきにバスが出ているのでとっても便利です。試合前の国歌斉唱も見所の1つなので、早めに球場に到着してショップや売店をのぞいたり、スタジアム内をのんびり散策するのがおすすめです。

ナショナルリーグで唯一の左右対称型のとても美しい球場として知られています
ナショナルリーグで唯一の左右対称型のとても美しい球場として知られています

 野球ファンにはスタジアムツアーもおすすめです。試合のない日中に普段は入ることのできないダグアウトやVIPラウンジ、選手の控室やワールドシリーズのトロフィーなどが飾られた展示室などをガイドの説明を聞きながら見ることができます。グラウンドに降りることもできるので、普段とは違う景色を楽しめます。また、ブルペンを見学できるクラブハウスツアーもあるので、ファンなら楽しめること間違いなしです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)