ダウンタウンの一角にあるブラッドベリー・ビルディングは、「ブレードランナー」をはじめ多くの映画の撮影が行われているLAでは有名な建物
ダウンタウンの一角にあるブラッドベリー・ビルディングは、「ブレードランナー」をはじめ多くの映画の撮影が行われているLAでは有名な建物

 ハリソン・フォード主演のSF名作「ブレードランナー」(1982年)の30年後を描いた続編「ブレードランナー2049」が、今月6日に全米公開されましたが、ロサンゼルス(LA)のダウンタウンにある「ブラッドベリー・ビルディング」は、そのロケ地として知られています。ブラッドベリー・ビルディングは、メキシコの金採掘ビジネスで財を成したルイス・ブラッドベリー氏が1893年に建てた5階建ての商業ビルで、米合衆国国定歴史建造物に指定されているとてもクラシックな建物です。このビルは現在もオフィスビルとして使われていますが、1階部分は誰でも自由に中に入って見学をすることができます。

向かいにあるクラシックな雰囲気で歴史を感じさせるミリオン・ダラー・シアターも現在は営業しておらず、映画の撮影などに使われています。
向かいにあるクラシックな雰囲気で歴史を感じさせるミリオン・ダラー・シアターも現在は営業しておらず、映画の撮影などに使われています。

 外観は派手さもインパクトもさほどないので、言われないとここが有名なロケ地であると気づきにくいかもしれませんが、実は「ブレードランナー」以外にも「アーティスト」(11年)や「(500)日のサマー」(09年)、「ウルフ」(94年)「ペイ・フォワード 可能の王国」(00年)など数多くの映画の撮影に使われているLAでは有名な観光名所です。一見するとどこにでもある普通の古いビルにしか見えませんが、実はここが映画やドラマのロケ地として使われる理由はその内部にあります。このビルの特徴はなんと言っても一歩建物の中に入ると、外観からは想像できない美しい空間が広がっており、その豪華で重厚な内装に驚かされることです。

ブラッドベリー・ビルディングは、現在もオフィスビルとして使用されているため、1階部分のみしか見学できませんが、美しい内装は必見の価値あり。
ブラッドベリー・ビルディングは、現在もオフィスビルとして使用されているため、1階部分のみしか見学できませんが、美しい内装は必見の価値あり。

 ドアを開けて中に入ると、独特の面白い構造をしていることに気づきます。5階建ての内部は吹き抜けになっており、ガラス張りの屋根から差し込む太陽の光が時間帯によって様々な表情を見せてくれます。また、ゴシック調の建築様式、鳥かごのようなむき出しの古いエレベーター、木製のベランダ、タイル貼りの床、テラコッタと言われる素焼きの装飾など、どこを切り取っても絵になる美しさで、未来都市をイメージして造られたと言われるだけあってレトロながらもどこか異国情緒を感じさせる雰囲気です。「ブレードランナー」では、ウィリアム・サンダーソン演じるタイレル社の技術者セバスチャンが住むアパートとして使用されており、ハリソン・フォード演じるデッカードとルトガー・ハウアー演じるバディーの対決の場所としても有名です。

「ブレードランナー」の撮影に関する資料も展示されています。
「ブレードランナー」の撮影に関する資料も展示されています。

 ダウンタウンの新しいグルメスポットとして人気のグランド・セントラルマーケットからも近いので、観光のついでに立ち寄ることもできます。映画だけでなく建築に興味のある方にも必見ですが、訪れる前にはぜひDVDで「ブレードランナー」をチェックしてから行くと良いですよ。ちなみに、ブラッドレー・ビルディングの向かいにある1917年に建てられたミリオン・ダラー・シアターも「ブレードランナー」をはじめとする多くの映画に登場しているのであわせてチェックしてみて下さいね。また、「ブレードランナー」は他にもダウンタウンのユニオン・ステーションやボナベンチャーホテル、セカンドストリートにあるトンネルなど、色々な場所でロケをしていますので、ロケ地を巡ってみるのも楽しいですよ。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)