早いもので今年も残り1カ月を切り、ホリデーシーズン真っ盛りのこの時期はクリスマスパーティーなど何かと飲酒する機会が増えますが、かわいい愛犬も一緒にお酒を楽しみたいと願う人たちの間で今、「犬用ビール」がブームになっています。とは言っても、犬や猫などペットに人間と同じアルコール入りビールを与えるのはご法度。そこで開発されたのが、見た目はビールでもノンアルコールで安心して飲める健康的な犬専用のビールです。数年前からオレゴン州などで出回り始めたこの犬用ビール、今年は全米各地でトレンドになりつつあり、様々なメーカーから色々な種類のビールが販売されています。

グッド・ボーイ・ドッグ・ビアは缶入りで、見た目は本物のビールそっくりなので、ビール好きな愛犬家には人気があります(写真は公式フェイスブックより)
グッド・ボーイ・ドッグ・ビアは缶入りで、見た目は本物のビールそっくりなので、ビール好きな愛犬家には人気があります(写真は公式フェイスブックより)

犬用ビールの中でも、缶入りで見た目は本物のビールにそっくりなのが「グッド・ボーイ・ドッグ・ビア」。「IPA」「エール」「モルト」など人間用ビールと同じネーミングがついた3種類があり、肉や野菜、スパイスなど全て自然素材からできています。グッド・ボーイ・ドッグ・ビアの創業者によると、消化器官に問題を抱えていた愛犬に飲ませるために開発したもので、ビールそのものを飲ませることができる他、普段のご飯にかけてあげることもできるとのこと。それなら単なる肉フレーバーのスープと同じじゃないの? と思うかもしれませんが、ビールと言う名前がついているからにはちゃんと麦芽も使われています。発酵過程を省いている以外はほぼビールを醸造するのと同じ工程で作られています。無炭酸なので愛犬も飲みやすく、チキンやビーフのフレーバーと麦芽が良いハーモニーを醸し出しており、勇気があれば人間も飲むこともできるそうです。

当初はオレゴン州内でのみ販売していたものが、今では全米から注文が来るほど口コミで人気になったドッグ・グロッグ(写真は公式フェイスブックより)
当初はオレゴン州内でのみ販売していたものが、今では全米から注文が来るほど口コミで人気になったドッグ・グロッグ(写真は公式フェイスブックより)
意外にもビールが好きな犬は多いと言われており、ドッグ・グロッグは飼い主も安心して飲ませられる本格的な犬用ビールです(写真は公式フェイスブックより)
意外にもビールが好きな犬は多いと言われており、ドッグ・グロッグは飼い主も安心して飲ませられる本格的な犬用ビールです(写真は公式フェイスブックより)

クラフトビールの聖地として知られるオレゴン州で造られているのが、「ドッグ・グロッグ」。こちらはビール醸造所ボンヤード・ブリュワリーで働くダニエル・キートンさんが、本物のビールの製造工程で残る麦芽のかすを使って醸造した犬用ビールです。本来なら捨てられる残りかすにオーガニック野菜のブロス、シナモンやショウガ、はちみつなどを加え、ビールが好きな犬のために人間と一緒に楽しめる健康的なビールを目指して造られています。キャラメルやハニーとモルトの甘い風味が特徴で、全米から注文が殺到していると言います。またカリフォルニア州で誕生した「ハッピー・テール・エール」は、愛犬の秋田犬がビールの瓶を倒して舐めていたのも見た飼い主が、犬のためのビールを造ることを思いついたのがきっかけで生まれたもの。グルコサミンやビタミンEなどを加えた健康的な犬用ビールは瞬く間に人気となり、製造が追いつかないほどだと言います。

犬のラベルがかわいいバウサー・ビア。チキン味が一番人気。ロサンゼルスのファーマーズマーケット内のペットショップで購入できます
犬のラベルがかわいいバウサー・ビア。チキン味が一番人気。ロサンゼルスのファーマーズマーケット内のペットショップで購入できます

犬用お菓子の製造からスタートしたワシントン州シアトルにある家族経営の「バウサー・ビア」は、チキン、ビーフ、ポークの3種類のフレーバービールを製造販売しています。開発には3匹の愛犬たちの協力があり、試飲を繰り返して本当に犬が喜ぶ味を追求したとのこと。こちらも愛犬の足腰の健康を考えてグルコサミンが入っており、素材は全て自然のものが使われています。355mlのボトルビールのような形をしたビールは、大型犬なら一度に1本あげてもOKで、小型犬は半分の量を目安にと説明書きがあります。夏場は凍らせてアイスクリームのようにしてあげても良いのだそう。

気になるお値段ですが、だいたい1本6ドル前後で、人間のビールと同様に6パック入りなども売られています。いずれも大量生産しておらず、生産量が少ないので限られた場所でしか購入できないことが多いですが、オンラインの他、ペットショップでも見つけることができます。クリスマスなどのホリデーや誕生日など特別な日に愛犬を喜ばせるためだけでなく、飼い主と一緒にビールを楽しむ目的で購入する人も多く、ここ数年で犬用ビール市場は急成長していると言います。今年のクリスマスは愛犬も一緒にビールで乾杯がトレンドになりそうです。

※これらはあくまでも犬用に開発されたノンアルコールビールなので、間違っても人間用のビールを愛犬には与えないでくださいね。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。日刊スポーツ・コム「ラララ西海岸」)