清潔でおしゃれな店内にフレンドリーな店員も人気の秘訣
清潔でおしゃれな店内にフレンドリーな店員も人気の秘訣

日本ではチキンのファストフード店と言えばケンタッキー・フライドチキンですが、ここロサンゼルス(LA)ではチキンと言えば「Chick-fil-A(チックフィレイ)」です。1946年にジョージア州アトランタからスタートしたチキン専門のファストフードチェーン店ですが、現在はここカリフォルニアはもちろん全米に2400を超える店舗があり、ケンタッキーよりも断然人気があります。骨なしチキンをカラッと揚げたチキンサンドが一番人気の定番メニューですが、よりヘルシーなグリルしたチキンのバーガーや好みのチキンをトッピングしたサラダ、ナゲットなど豊富なメニューが特徴で、フライドチキンがメインのケンタッキー・フライドチキンとは一線を画しています。

サクサクでさっぱりなフライドチキンのサンドはここの名物
サクサクでさっぱりなフライドチキンのサンドはここの名物

元祖チキンサンドを食べてみると分かりますが、普通のフライドチキンと違って油っこさはまったく感じられず、サクッとした食感の衣とジューシーな胸肉の組み合わせは老若男女問わず好まれているのが分かります。このサクサクでジューシーなフライドチキンを実現させるために、同社はピーナッツ油を使って短時間でさっと揚げているのだと言います。さらにこのチキンサンドはバターをたっぷりと使ったブリオッシュ風のバンズにチキンとピクルスだけがサンドされたとてもシンプルな創業当時からのスタイルを守っているのも人気の秘訣です。ソースはお好みでハニーマスタードやバーベキュー、甘辛いポリネシアンソースやタイのスパイシーなシランチャ・ソースなど8種類から選ぶことができ、トッピングが欲しい人はレタスとトマト、チーズを挟んだデラックスをオーダーすることができます。そして、チキンとセットのポテトは網目状のワッフルスタイルで、これもサクサクで美味しいと評判です。

サイドのワッフルポテトも隠れた人気メニューです
サイドのワッフルポテトも隠れた人気メニューです

チックフィレイはチキンのファストフードチェーン店でありながら、朝食メニューも充実しており、ビスケットやベーグルといった朝食の定番に自慢のチキンをサンドしたものだけでなく、チキン抜きのベーグルやマフィン、フルーツがたっぷり乗ったギリシャヨーグルトなどヘルシーなメニュー、そしてソーセージエッグマフィンなどの朝食の定番も網羅しています。チキンはフライかグリルを選べますが、ここではチキンナゲットにもグリルがあるのも特徴です。また、チーズの種類を選べたり、サラダのドレッシングも7種類から選べるなど顧客のニーズに合わせた細かな配慮も若い世代にウケている理由だと言います。そして何よりユニークなのは、年中無休の24時間営業が多いファストフードチェーン店にありながら、日曜日がお休みということ。夜の営業も店舗によって若干異なるものの11時には閉店します。これは創業者が、彼自身と従業員は休息を取り、神に礼拝する機会を持つべきだという考えから日曜日を閉店することに決めて以降、現在まで守られているのだと言います。

真っ赤なチキンをかたどった看板がキュートですが、キャンペーン広告には鶏ではなく牛をキャラクターに起用して話題にもなりました
真っ赤なチキンをかたどった看板がキュートですが、キャンペーン広告には鶏ではなく牛をキャラクターに起用して話題にもなりました

そんなチックフィレイは昨年、前年比16・7%増しとなる105億ドルの売り上げを記録し、バーガーキングやタコベルといった大手を抜いて全米3位のファストフードチェーンに急浮上。南部のフライドチキン店だったチックフィレイが昨年の7位から一気に1位のマクドナルド、2位のスターバックスと並ぶトップ3に名を連ねたことは、業界でも大きな衝撃となっています。チキンサンドが4・15ドルとリーズナブルなプライスながら、1店舗当たりの平均売り上げはマクドナルドを含む他のハンバーガーショップを上回る断トツ1位で、いかに安定した顧客数を得られているかが分かります。特に10代の若者にはあのスターバックスと並ぶ人気店だといわれるチックフィレイに対し、同じ南部発のフライドチキンを中心としたファストフードチェーン「ポパイズ・ルイジアナ・キッチン」も胸肉のフライドチキンとピクルスをブリオッシュで挟んだ同様のチキンサンドを発売するなどライバル社も新商品を続々発表して対抗しており、巷ではちょっとしたチキンサンド競争が勃発しています。チックフィレイは日本未上陸なので、LAを訪れた際にはサクサクジューシーなチキンをぜひ試してみて下さい。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)