新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないアメリカは、10日後の26日にクリスマスと並ぶ一大ベント「サンクスギビングデー(感謝祭)」を迎えます。

レストランやスーパーマーケットのデリでも例年通りターキーの丸焼きの注文受付が始まっています
レストランやスーパーマーケットのデリでも例年通りターキーの丸焼きの注文受付が始まっています

木曜日からの4連休の初日となる感謝祭当日は家族や親戚が集まって一緒にターキーを食べるのが慣わしで、その日の深夜には一大セール日となるブラックフライデーもスタートし、ショッピングモールや大型量販店などは大勢の人で賑わいます。例年、感謝祭を家族と過ごすために、州をまたいで移動する人で空港や高速道路も大混雑し、観光客も増えるので街が賑わう季節でもあります。

多くのアウトレットや量販店では早朝から店を開け、混雑緩和のためにセール期間の延長も行っています
多くのアウトレットや量販店では早朝から店を開け、混雑緩和のためにセール期間の延長も行っています

しかし、国内の1日当たりの新たな感染者数が15万人を超え、全米各地に感染が広がる中、今年は感謝祭の計画を見直すよう求められています。

カリフォルニア州では感謝祭に合わせて増えると予想される人の移動を制限するため、住民に対して州外への旅行や不要不急の移動の自粛と、州外からカリフォルニア州に到着した人は2週間の自己隔離をするよう要請。できるだけ自宅近郊に留まり続けるよう注意喚起もしており、可能な限り外出を控えるよう求めています。

感謝祭は自宅で家族や知人らが集まって食事をするため、マスク着用やソーシャルディスタンスを保つことが難しく、また室内で会話をしながら長時間過ごすことから、感染リスクが高まると言われています。そのため、同居する家族または普段からよく会っている親しい人など、ごく少人数で2時間以内の短い時間にすることや、室内よりも可能ならベランダやパティオなど屋外で食事をすること、食事の合間もマスクを着用することや、離れて暮らす家族とはオンラインを利用してバーチャル食事会を行うことなどを推奨しています。

スーパーマーケットには大きなターキーが並んでいます
スーパーマーケットには大きなターキーが並んでいます

7月4日の独立記念日をきっかけに感染者が急増したここロサンゼルス(LA)でも、再びその時と同水準にまで感染者が増えていることを受け、今年は感謝祭の集まりを取りやめるよう市民に求めています。毎年恒例の連休最終日にハリウッドで行われるクリスマスパレードは今年は中止が決まり、ブラックフライデーもオンラインの活用やセール期間の延長などで混雑緩和を図る動きが活発化していますが、調査会社ニールセンによるとパンデミック下においても例年と同様にサンクスギビングの食事を用意すると回答した人が7割以上にのぼっているといいます。

なかなか習慣を変えるのが難しい中、専門家たちは食事は個々の皿にとりわけ分けて提供し、料理を持ち寄ったりしないこと、料理やトングを他人とシェアしないことなど注意喚起もしていますが、家族や親しい友人間では気も緩みがちです。また、隔離措置によって州をまたぐ移動は少なくなるかもしれませんが、あくまでも自己隔離であることや、カリフォルニア州内の移動には制限がないことなどから、今年は多くの人が飛行機を使わずに車で移動することで大渋滞が起こるとも予想されています。

例年なら深夜から行列ができるブラックフライデーですが、コロナ禍で迎える今年は果たしてどうなるのか予想もできません
例年なら深夜から行列ができるブラックフライデーですが、コロナ禍で迎える今年は果たしてどうなるのか予想もできません

アメリカはこの後もクリスマス、ニューイヤーとホリデーが続き、2月のNFLの優勝決定戦スーパーボウルまでイベントが目白押しですが、専門家はこのままの状況が続けば「メリークリスマス」が「アンメリークリスマス」、つまり楽しくないクリスマスになるだろうと1か月後の悲惨な状況を想定して警告を鳴らしています。

LAでも14日には、夏に記録した最多新規感染者数を更新して1日に3780人の感染者を記録するなど、感染拡大の歯止めがきかなくなっています。これからホリデーシーズンに向けて会食など人が集まる機会や、クリスマスショッピングなどで出かける頻度も増えることから、再び飲食店や小売店の閉鎖など、より厳しい措置が取られる可能性もありそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)