新型コロナウイルスの新たな変異種オミクロン株の感染拡大が止まらないアメリカでは、28日に1日当たりの新規感染者が過去最多となる44万人超えを記録し、過去最多だった今年1月の29万人超から1.5倍となる驚異的な感染増となっています。クリスマス休暇を終えて旅先から自宅に戻った人たちが各地で検査場に列をなし、数時間待ちという地域も出ており、人出が増えるこれから新年にかけてさらに感染者が増えることが予想されています。コロナ初期に感染爆発したニューヨークでも感染再拡大が起きており、ブロードウェーではミュージカルが一時休演になるなど混乱も起きていますが、バイデン政権はロックダウンの措置を取らずに経済活動を最優先する姿勢を崩していません。
日本では水際対策を強化するなどオミクロン株の拡大に警戒を強めていますが、アメリカでは重症化率が低いことを前提に、逆に規制を緩和する動きに転じています。より感染力の強いオミクロン株のまん延で感染者は過去最多を記録する中、日本とは対照的にバイデン政権は南アフリカなどアフリカ南部8カ国からの入国禁止措置を今月31日付で解除する方針を発表。デルタ株と比較して重症化して入院する率が現時点で低いことや国民の半数以上がワクチンを接種していること、ブースターと呼ばれる3度目の接種も始まっていることなどが理由ですが、賛否両論はあるもののオミクロン株のまん延は想定内として数字にはこだわらない日本とは真逆の大胆な政策といえます。現在、日本を含むその他の国からの入国に際し、外国人はワクチン接種が義務化されており、アメリカ国籍の人を含む2歳以上の全員が出発の1日以内の検査で陰性であることを証明する必要がありますが、到着後の検査や隔離はありません。海外からの入国者は入国時に陰性であっても公共交通機関を使わずに14日間隔離しなければならない日本の水際対策とは雲泥の差です。
水際対策のみならず、感染者と濃厚接触者に求めてきた隔離措置に関してもこのほど米疾病対策センター(CDC)が大幅に短縮する方針を発表し、これまでの10日から半分の5日間で終了することを認めています。CDCの新たなガイドラインでは、感染後はワクチン接種の有無に関係なく、症状が回復していれば5日後に隔離を終了することができ、マスクを着用した上で仕事場への復帰など外出も可能になるとしています。また、濃厚接触者に対しては3回目の接種を終えている人、もしくは2回目の接種完了から半年以内の人は、症状がなければマスクを着用することを条件に隔離は不要となり、行動制限はなくなりました。ちなみに濃厚接触者と認定されるのは、6フィート(約1.8メートル)以内の距離で24時間以内に計15分以上一緒にいた人、または感染者と性行為やキス、抱擁など直接触れ合ったり、飲み物のカップなどを共有したり防護服なしに介護を提供した人とされています。陽性者が無症状の場合は陽性確定の2日前から、症状がある人は症状が現れる2日前から濃厚接触の対象になるとしています。
隔離期間を短縮した背景には、オミクロン株の重症化率が低いことに加えて感染者の急増で医療従事者の離脱が相次いでいることやスタッフ不足で航空機の運航に支障が出るなどさまざまな業界で人手不足が加速していることへの懸念もあります。オミクロン株に関しては、実際に3回目の接種を終えた人も多く感染しており、ワクチンによる感染予防効果は高くないことも分かっている一方、重症化率を下げる予防効果は高いといわれ、ほとんどが無症状か軽い鼻かぜ程度の症状であることが伝えられています。デルタ株より重症化しないことを前提に日常生活をできるだけ維持することで経済活動を停滞させずに乗り切ろうというこの2年近くの経験を生かしたアメリカ独自の政策といえます。
クリスマスが終わり、次は大みそかのカウントダウンイベントを控えていますが、アメリカ政府の首席医療顧問を務めるファウチ博士は、「40~50人不特定多数の大人数が集まり、ハグしたり、キスしたりしない限り、少人数で集まることは問題ない」との見解も示しており、感染が拡大している中でも1年前とは様相が変わっています。それでもワクチン未接種者は集まりへの参加を避けることが求められているほか、屋内での飲食よりも屋外かテイクアウトを利用する方がより安全であると専門家は指摘しています。
ただ、過去の事例では感染者の増加後しばらくしてから入院患者や死者数が増加する傾向もあることなどを踏まえ、世界保健機関(WHO)は結論を出すのは時期尚早とオミクロン株の重症化率が低い説に警鐘を鳴らしています。今後も引き続きオミクロン株への警戒が必要なことは間違いありませんが、さらに重症化率の高い新たな変異種が出現する可能性もすでに取りざたされており、2022年も当面はコロナとの戦いは続きそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)




