全米各地でこの週末、銃撃事件が相次いで起き、大きな衝撃を与えています。ニューヨーク州バファローでは家族連れでにぎわう土曜日の午後のスーパーマーケットで、白人男性がライフルを乱射して10人が死亡し21人が負傷するなど、CNNによると13日から15日にかけて少なくとも12の銃乱射事件が発生していると言います。

LAダウンタウンで起きた銃撃事件を伝えるロサンゼルス・タイムズ紙の記事
LAダウンタウンで起きた銃撃事件を伝えるロサンゼルス・タイムズ紙の記事

平和な日常が突如惨事に一変したバファローの事件は、人種偏見が犯行動機で、黒人コミュニティーを意図的に狙ったヘイトクライム(憎悪犯罪)の可能性が指摘されています。軍服に身を包んだ容疑者は、銃を乱射しながらその様子をライブストリーミングで動画配信しており、発砲は50発におよんだと伝えられています。

日曜日の教会で起きた乱射事件は地元の人々に衝撃を与えています(LAタイムズ紙の電子版より)
日曜日の教会で起きた乱射事件は地元の人々に衝撃を与えています(LAタイムズ紙の電子版より)

また、13日夜にはウィスコンシン州ミルウォーキーのダウンタウンでも銃撃事件が起きており、17人がけがをしました。現場は米プロバスケットボールリーグ(NBA)バックスの試合会場近くで、試合終了直後に銃声が鳴り響き、多くの人が逃げ惑う様子が伝えられています。プレーオフが行われていたこの日は、およそ2万人の観客が観戦しており、現場近くのスポーツバーも多くのファンでにぎわっていたことから数万人が現場付近にいたと言われています。そんな誰もが被害に遭う可能性がある場所で銃撃事件が多発したことは、多く人々に恐怖を与えています。

ランチタイム時や週末は大勢の人でにぎわうグランド・セントラル・マーケット
ランチタイム時や週末は大勢の人でにぎわうグランド・セントラル・マーケット

ここロサンゼルス(LA)でもダウンタウンにある観光客だけでなく、地元の人にも人気の高いフードコート「グランド・セントラル・マーケット」で14日、銃撃事件が起き1人が死亡しました。また、翌15日にはLA南部オレンジ郡ラグーナ・ウッズの教会でも銃乱射事件が発生し、少なくとも1人が死亡し、5人が重軽傷を負っています。

筆者の自宅近くにある銃を取り扱うガンショップ
筆者の自宅近くにある銃を取り扱うガンショップ

グランド・セントラル・マーケットは、映画「ラ・ラ・ランド」(2016年)のロケ地としても知られ、グルメスポットとして人気の場所です。メキシカンやハンバーガーからラーメン、アイスクリーム、ビアブリュワリーまで人気グルメが勢ぞろいしており、週末は若者から家族連れ、観光客に至るまで常にたくさんの人でにぎわっています。筆者も何度も訪れたことがある場所で、しかも午後4時という日中の時間帯に事件が起きたことに、改めて銃が身近であることの怖さを実感しています。

また、ラグーナ・ウッズの教会での銃撃事件も多くの人が礼拝に訪れる日曜日の昼間を狙った犯行だけに、毎週日曜日に教会に通っている人たちにとっては恐怖を感じずにはいられなかったことでしょう。ロサンゼルス・タイムズ紙によると、容疑者はアジア系の60代男性で、事件当時教会にいたのはほとんどが台湾系だったと言います。犯行動機などは分かっていませんが、アジア系住民の多い地域だけにコミュニティー全体に大きな衝撃が走っています。

ランチタイム時や週末は大勢の人でにぎわうグランド・セントラル・マーケット
ランチタイム時や週末は大勢の人でにぎわうグランド・セントラル・マーケット

CNNによると、今年に入って4カ月半あまりで、すでに7500人以上が銃撃事件の犠牲になっており、銃による死亡者は23%増加しているといいます。今年すでに198件の銃乱射事件が起きているとの報道もあり、改めて銃規制の強化をめぐる議論が再燃しそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)