ネットフリックスにスポティファイ、大手映画館チェーンAMCでの映画鑑賞、フィットネス動画のペロトンにミールキットや美容系などなど、アメリカには様々なサブスクリプションがあります。日本でも「サブスク」という言葉が定着していますが、サブスクリプションとは定額で毎月決まったサービスが利用できたり、様々な商品が自宅に届くサービスです。

コロナ禍の巣ごもり需要もあり、ミールキットやアルコールのサブスクなどフード系や動画配信サービス、フィットネス系が好調ですが、コーヒー豆が定期的に届いたり、おやつやおもちゃを詰め合わせた愛犬のためのサブスクなど、本当にたくさんのサービスが登場しています。

そして今は、自宅に商品が届いたり、自宅で利用するサービスだけでなく、外で気軽に利用できるサブスクも人気です。アメリカとカナダに2000を超える店舗を展開するベーカリーカフェチェーンのパネラ・ブレッドは、コロナ禍以前からコーヒーのサブスクを行っていましたが、コロナ禍以降もサービスを継続しており、好調だと言います。

パネラ・ブレッドのサブスクは、月額11.99ドル、年間119.99ドルを支払えば、2時間毎にコーヒーや紅茶だけでなく、ソーダやレモネード、アイスコーヒーなどドリンクを無制限で頼むことができます。つまり、朝から閉店まで2時間ごとに何度でも飲み物が無料でもらえるサービスで、コーヒー1杯3.29ドルなので月4杯以上飲めば元が取れてかなりお得です。

ドリンクが飲み放題になるサービスを行うパネラ・ブレッド
ドリンクが飲み放題になるサービスを行うパネラ・ブレッド

また、2016年にニューヨークでスタートした持ち帰り専門のランチのサブスクMeal Palも、19年にロサンゼルス(LA)でもサービスをスタートさせており、月85ドルを支払うと参加する飲食店で月12食までランチをピックアップすることができます。LAのランチは15ドル超えは当たり前で、ファーストフードでも10ドル超えになることが多いので、1食あたり7ドルほどでランチが食べられるはかなり魅力的です。アプリを使って地図上からお店を探してオーダーができ、メニューが豊富なのも人気の秘訣です。

また、ファーストフードチェーン大手タコベルも昨年、10ドルを支払うと30日間毎日タコス1つがもらえるサブスクを実験的に行って大好評だったことから、新たなサブスクの導入を検討していると言われています。他にもサンドイッチを主とするファーストフードチェーンのサブウェイも昨年、1万パス限定のサブスクサービスを販売して6時間で完売しています。さらに人気の中華料理専門レストランチェーンP.F.チャンズはこのほど、月130ドルを支払うと2人分の3コースの食事をテイクアウトできるようになると発表。P.F.チャンではすでに昨秋から月額$6.99のメンバーシップに入会すると、無料デリバリーやポイントなどの特典が得られるサービスも行っています。

アメリカ人は昨年、1人平均6.7のサブスクを利用していたそうで、19年の平均4.2から大幅に増えていることから、コロナ禍で売り上げ減となった飲食店の参入に拍車をかけているようです。パンデミックによってテイクアウト利用が増えたことやインフレの影響で外食を控える人も多い中、こうした飲食店のお得感の高いサブスクは今後ますます増えていきそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」)