11日にパリオリンピック(五輪)が閉幕すると、次はいよいよここロサンゼルス(LA)に五輪旗が引き継がれます。2028大会まで4年となるLAが、開催都市として早急に進めなければならない課題の一つがホームレス問題です。
コロナ禍や記録的な物価の高騰などで増え続けるホームレスは、社会問題となっており、ダウンタウンにある「スキッド・ロウ」と呼ばれる全米最大のスラム街ではおよそ5000人が路上で生活しているとされています。スキッド・ロウは、日本人も多く訪れるリトルトーキョーに隣接するエリアで、一歩足を踏み入れると歩道はテントで埋め尽くされており、路上にはゴミが散乱。薬物やアルコール中毒者も多く、人目もはばからず排泄する人や叫びながら歩く人などがそこらかしこにおり、異臭も激しく、地元の人が近寄ることは滅多にありません。
カリフォルニア州は全米の中でもっともホームレスが多く、約65万人といわれるホームレス人口(2023年の調査)のおよそ3分の1を占めています。中でも年間を通じて雨が少なく、温暖な気候のLAには多くのホームレスが暮らしており、スキッド・ロウ以外にもさまざまな場所で大勢の人がテントや車などで暮らしています。
サンタモニカのような観光地でさえも、歩いているとホームレスの人が寝ているのを見かけることは珍しくありません。4年後に世界各国から大勢のアスリートや要人、観光客を迎えるにあたり、避けては通れない問題です。
ホームレスが増え続ける要因の一つに、LAの生活費の高さがあります。特に家賃の高騰は深刻で、高すぎる家賃が払えずにホームレスになる人が後を絶たないのが現状。市もその問題を解決するため、ホームレス居住用の住宅施設の建設も進めていますが、増え続けるホームレスすべてに対応するには予算に限りもあり、まだまだ時間がかかります。
そんな中、先月末にカリフォルニア州のニューサム知事が、路上生活者の拠点の早期撤去に向けた知事令を発令しました。しかし、現状ではシェルターが満杯の状態で追い出されたホームレスたちが行き場を失うことになるため、支援団体などからは反発の声も上がっています。
実際にこれはいたちごっこでしかなく、筆者の自宅前にもある日突然複数のRV車で暮らすホームレスがやってきて生活をはじめ、住民からの苦情で警察が出動して退去を命じたこともありましたが、ほとぼりが冷めた頃にまた舞い戻ってくるということを繰り返しています。結局のところ、高すぎる家賃問題を解決してホームレス状態になる人を未然に防ぐ、早期にホームレス状態から離脱させる以外に根本の解決には至らないというのが現状で、手ごろな価格帯の住居の提供を促進する必要があります。
地元メディアによると、LAでは7万5000人が何らかの形でホームレス状態にあるといい、最終的にはフランス・パリと同様に物理的にホームレスの人々を大会前に市外に移動させる可能性もあると伝えています。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)





