昨年3月から「ニッカン鉄道倶楽部」をスタートさせて1年となりました。基本的に週に1本の原稿を上げ、その多くが各地の路線や駅の紹介ですが、いったん過去の記事を振り返ってみることにしました。自分ではバランスよく地域ごとや季節ごとに振り分けているつもりでも意外と偏りがあります。また当欄の今後についても記しています。

 ◇  ◇  ◇

この1年の記事が53本。うち10本が切符のルールや買い方、鉄道旅の情報だったので、のべ43回にわたって各地の路線や駅を紹介してきたことになります。

もともとは夕張線の廃線前に何とか間に合わせたいとの思いから始まったもので、1回目が3月15日と通常の連載より若干早めのスタートとなりました。一応、季節感や地域を考慮しながら書いてきましたが、一部の偏りは何となく感じていました。紹介した路線や地域を都道府県別に順番に挙げると

5回 広島

4回 北海道、兵庫

3回 岡山

2回 滋賀、島根、香川、徳島、高知、山口

1回 青森、山形、千葉、静岡、愛知、岐阜、新潟、奈良、大阪、和歌山、愛媛

となりました。2つの都道府県にまたがる場合(木次線など)は、1つずつカウントし、全く別物でも明らかに同一行程で地図もまとめて掲載したもの(青海川駅と筒石駅)は1つとしました。前後編は1カウントです。

こうしてみると中国地区が圧倒的に目立ちます。さすがにこれは分かっていました。JR西日本管内は大阪を起点とすると、かなりの駅が日帰り可能になっているので私にとっては比較的行きやすい。木次線と芸備線の接続は備後落合(写真1)の14時台の合流に行けば意外と便利(備後落合駅は10分ほどしか堪能できないけれど)です。もっとも中国地区の山中を行く路線そのものが魅力的だという理由が一番なのですが(写真2)。

〈1〉1日に1度、3方向からの列車が集まる(2018年2月)
〈1〉1日に1度、3方向からの列車が集まる(2018年2月)
〈2〉今年も4月から運行を開始した木次線の奥出雲おろち号
〈2〉今年も4月から運行を開始した木次線の奥出雲おろち号

四国については、以前現地で働いていたため、かなりの土地勘と愛着があるからです(写真3、4)。兵庫県も同様で、もともとの知識がある。ただ三木鉄道の廃線跡(写真5)を全部歩いたのは疲れました(笑い)。

〈3〉鉄橋の上にある土讃線の土佐北川駅
〈3〉鉄橋の上にある土讃線の土佐北川駅
〈4〉予土線の江川崎駅
〈4〉予土線の江川崎駅
〈5〉三木鉄道三木駅跡の鉄道記念公園から全路線跡を歩いた
〈5〉三木鉄道三木駅跡の鉄道記念公園から全路線跡を歩いた

北海道が多いのは鉄道ファンなら、お分かりいただけると思います(写真6、7)。大地を行く鉄道には魅力が詰まっているのです。しかし4回のうち3回も廃線、廃駅の話題となってしまったのは残念。いつかあらためて魅力を伝えたいと思います。

〈6〉夕張駅に停車中のキハ40(2014年8月)。廃線からちょうど1年が経った
〈6〉夕張駅に停車中のキハ40(2014年8月)。廃線からちょうど1年が経った
〈7〉両隣駅もすべて「白滝」だった旧白滝の駅名標
〈7〉両隣駅もすべて「白滝」だった旧白滝の駅名標

逆に少ないというか1度も取り上げていないのが九州。持っている話はあるのですが、季節やタイミングが合わずに記事化しそこねました(写真8)。むしろ地元にもかかわらず、大阪が1度しか登場せず(写真9)、京都が1度も出ていない方が問題ですね。

〈8〉駅とバス停がセットになった斬新な構造の熊本電鉄御代志駅
〈8〉駅とバス停がセットになった斬新な構造の熊本電鉄御代志駅
〈9〉大阪の記事はオレンジの201系とのお別れだった
〈9〉大阪の記事はオレンジの201系とのお別れだった

さて本欄の今後ですが、ご存じの通り、現在旅に出られない状況にあります。2月の時点では復活した常磐線を青春18きっぷで巡る旅を企画し、休みもとっていたのですが断念。ならばせめて近場で、とも考えたのですが結果を言うと3月の前半を最後にどこにも行けていません。というか無理ですよね。おそらく私の歴史で初めて青春18きっぷを2コマも余らせてしまうことになりますが、やむを得ません。

鉄道各社の大幅な乗客減が伝えられています。こういう時に目立つのは新幹線を筆頭とする、ふだんから大量の乗客を運んでいる路線ですが、地方の私鉄やローカル線はもっと苦しいはず。こういう時こそ乗りに行って紹介して、と思うのですが、それがかなう状況ではありません。

2月から3月前半にかけての旅のストックが3、4本あるので、しばらくはそちらを記事化しつつ、古い情報で申し訳ありませんが、まだ消化していない過去の旅を振り返っていこうと思います。今はとにかくがまん。楽しくかつマニアックな旅が再びできる日を待つことにします。【高木茂久】