姫新線(きしんせん)の兵庫県内編(3月4日)で「本数も多く青春18きっぷで各駅を回る難易度も低い」と書きましたが、岡山県に入った途端に本数が減って難易度が極めて高くなります。そこで(大阪が起点となりますが)18きっぷのモデルコースを考えてみました。合わせて岡山県内の姫新線では、いつ以来となるのか、ピカピカの新駅舎も紹介します。(日曜ダイヤで考えています)

〈1〉2月21日が最後となった旧勝間田駅舎
〈1〉2月21日が最後となった旧勝間田駅舎
〈2〉旧勝間田駅の構内
〈2〉旧勝間田駅の構内
〈3〉青地に白抜き文字。最近なかなか見かけなくなった
〈3〉青地に白抜き文字。最近なかなか見かけなくなった

2月21日の日曜日。勝間田駅の戦前からの駅舎が今日で役目を終えると知り、車で現地を目指しました。冬用タイヤは持ち合わせていないので、2月に兵庫県や岡山県の山間部にマイカーで行くなんて絶対にしないのですが、この日の気温は2月とは思えない20度超えで、まさに僥倖(ぎょうこう)。今日が最後の務めとなる木造駅舎は掲げられた青地と白抜き文字に年輪を感じました。(写真1~3)

〈4〉勝間田駅の新駅舎
〈4〉勝間田駅の新駅舎
〈5〉新しい勝間田駅の説明板
〈5〉新しい勝間田駅の説明板
〈6〉新駅舎は出雲街道の宿場町を表している
〈6〉新駅舎は出雲街道の宿場町を表している

私が滞在したのは30分にも満たない時間でしたが、地元の方々が交互にやってきては駅舎の記念撮影をしていました。いい光景です。そのお隣には翌日から使用される新築駅舎。最近よく見かける木造駅舎を撤去して簡易駅舎に、というものではなく勝央町の中心駅にふさわしい立派な駅舎で、こちらも木造。出雲街道の宿場町だった勝間田をイメージしたという解説の案内板もあります。(写真4~6)

さてサービスエリアで40分以上食事休憩したり、コンビニに寄ったりしながら所要時間は3時間弱。寄り道なしなら2時間ちょっとで来られたことになります。前回、姫新線に寄り添うように走る中国道への恨み節を言いましたが、何のことない、私も大変お世話になっています。昨年7月の「かたてつ」訪問もそうだし(記事は昨年8月6、13日)、広島県まで行ったことも含めると20回以上は、このコースでハンドルを握っています。

しかし、それでは本欄の意味が全くない。そこで青春18きっぷを利用しての日帰り姫新線岡山の旅を考えてみました。ただ津山から西の新見までも含めると、とてもじゃないけど1日で回りきれません。ローカル線ながら150キロにも及ぶ路線なのです。まずは佐用~津山間で。

〈7〉青春18きっぷもしっかり用意したのだが…
〈7〉青春18きっぷもしっかり用意したのだが…

ということで18きっぷも用意し、いざ出かけんとしたが、1日は私事でもう1日は朝起きたら雨で風も強そうだったのでヤメてしまいました(謝)。だがこの区間は車と鉄道で何度も訪れている地域なので、モデルコースは設定できます(写真7)。大阪からの日帰りコース。日帰りの良いところは天候が悪ければ、すぐ中止できること(言い訳です)。

大阪からすべて18きっぷを利用するとして乗り継ぎの便利な時間帯となると姫路発9時46分。すると佐用発11時4分の津山に行き…って、スタート時点でもうランチタイムじゃないか(笑い)。まずは全線乗車を目指しましょう。津山まで乗り通すと12時2分着。この列車は12時20分に折り返す(買い物をするなら津山駅併設のコンビニがおすすめです)ので、そのまま県境の美作土居まで戻り(こういう路線は両端から埋めていくことにしています)13時1分着。13時43分で再び津山へ向かい、美作大崎で14時12分下車。東津山は津山からのバスも多く因美線もあるので今回はパス。

〈8〉カーブ上に設けられたホームの前は農地
〈8〉カーブ上に設けられたホームの前は農地
〈9〉西勝間田駅にはスロープを降りて入る
〈9〉西勝間田駅にはスロープを降りて入る

さてここからが一工夫。美作大崎から300メートルほど離れた国道まで出ましょう。大崎のバス停がある。津山~勝間田は1日4本のバスがあり、週末も走っています。14時28分に勝間田行きが来て3分で黒坂というバス停に着きます。黒坂の交差点を北へ約300メートルにあるのが西勝間田駅。駅舎はありませんが、カーブ上のホームとその向かいにある農地の風景が実に美しい。ぜひ行ってほしい駅です。(写真8、9)

そして、たった3分というなかれ。地方路線のバス3分というのは貴重。徒歩だと20分ぐらいに値します。さらに貴重さの理由を挙げると、ここから勝間田まで歩くからです(汗)。といっても、このあたりは駅間が近くて道も分かりやすい。約3キロなので40分もあれば歩けるはず。勝間田発が15時40分なので余裕はある。歩くのがイヤだという方は美作大崎はあきらめて14時9分に西勝間田で降りてください。14時31分黒坂発のバスに乗れば5分で勝間田に着きます。ただこのあたりは、駅とバス停に若干距離があるので初めての際は早めの行動をお願いします。

〈10〉勝間田駅のバスは貴重な存在
〈10〉勝間田駅のバスは貴重な存在
〈11〉林野、美作江見を経て大原に向かう貴重なバス
〈11〉林野、美作江見を経て大原に向かう貴重なバス

そして15時40分に勝間田から乗るのもバス(注・日曜ダイヤ)。勝間田を始発に林野や湯郷温泉、美作江見を経て智頭急行の大原へ至るバスが、本数は多くないもののあります(写真10、11)。美作江見着が16時11分。この後は姫新線で16時28分津山行き→林野16時38分着→同52分発→佐用着17時27分。その後は乗り換えスムーズに18時42分に姫路に着きます。行けない駅は東津山と楢原(ホームだけの駅です)のみ。欠点は勝間田で列車の利用がないことと、兵庫県最西端の上月が入っていないことでしょうか。

上月は意外な難所でこれまで記した道程だと行きか帰りに寄るしかありません。姫路発8時16分に乗って上月で1時間半待つか、林野からの帰りに下車して1時間待つかですが、私的には早起きして姫路にたどり着くのがオススメ。駅に併設の特産物直売所で軽食やコーヒーもあり時間もつぶせます。

〈12〉旧駅舎に掲げられた駅名標
〈12〉旧駅舎に掲げられた駅名標

ここに挙げたのは、あくまでも私的なプラン。姫路まで新幹線を利用したり、津山や湯郷温泉に宿泊すればバスとの組み合わせで、さらにバリエーションは増えます。勝間田、林野にはいざという時のタクシーもあります。ぜひ皆さんなりの18きっぷプランで出かけてほしいと思います。【高木茂久】

※列車やバスの時刻、店舗の営業時間については、あらためて確認をお願いします。