日刊スポーツ、日刊銀鱗倶楽部主催「2018 月桂冠杯・須磨海づり公園釣り大会」が晴天の3日、午前6時から神戸市須磨区の同公園で行われ、86人が参加し総重量を競った。早朝から中潮の上り潮がほどよく流れ、条件は良かったが小アジやイワシなどの小魚が少なく、大物の食いも低調。それでも、あの手この手で攻め続け午前10時まで熱戦が繰り広げられた。優勝はハネ、小ダイ、サンバソウを2680グラム釣った長澤和彦さん(77=神戸市)が獲得した。

 「ようやく優勝出来ました。食いが渋かったが、少ないチャンスをものにできて良かった」。満潮前、長澤さんの須磨ウキがスパーッと引き込まれ、やわらかい磯竿が大きくしなった。

 今年は水温の上昇が遅れ、魚の活性はいまいち。絶好の上り潮が西へまっすぐに流れるが、竿立ちはわずか。そんな中、第2釣台東側の内向きに入り、シラサエビのエビまき釣りで大物に挑戦。長年にわたって、感度を磨き上げてきた自作の須磨ウキ(1メートル弱)がハネの食いをとらえた。

 長澤さんは、須磨一筋40年の大ベテランで週に3日は竿を出し、ハネの食いパターンを見つけ出すのはお手のもの。この日の勝因はタナ選びと誘いだった。餌取りの反応をみながら4ヒロ半から3ヒロ半までを探り、時折、ラインを張って食いを引き出した。

 獲物は45・5センチを頭にハネ3匹、小ダイ2匹にサンバソウ1匹の合計2680グラム。多くのエビまき釣り師が苦戦し、良い人でハネ1匹という厳しい状況の中、見事な釣りっぷりだった。

 念願の優勝カップを手にすると「毎回、参加し、上位に入ったことはあるが、優勝したのは初めて。とてもうれしいです」と、穏やかな笑顔で目尻を下げた。

 須磨海づり公園の魅力は「山と海が共存する素晴らしいロケーション。そんな中でウキを眺めていたら最高の気分ですよ。これらからも四季折々、根魚、青もの、マダイなどを狙って通い続けます」とにっこり。

 副賞のお酒「純米大吟醸・鳳麟」を大切そうに脇に抱え「今夜は晩酌が楽しみ。釣ったハネを洗いとムニエルにしてじっくり味わいます。来年も参加します」と笑顔で会場を後にした。

 上位に入ったのは、すべて須磨海づり公園特有の長い棒ウキを使ったエビまき釣り師。わずかな潮の変化、小さなアタリも逃さないベテランの技が光った。【近江康輔】