本日10日、山梨・精進湖でブラックバスのダービー予選が始まりまーす。令和に時代が変わって、最後に盛り上がった西湖「白根」に続き、精進湖「湖畔荘」でもバスのダービー予選が6月9日まで実施される。1日に釣った3匹の重量勝負で、期間中は何度でも挑戦できる。上位3人は、10月20日の決勝・相模湖「柴田」への切符をゲットできる。昨年の精進湖チャンプが“地獄”と“天国”を見た。

いつもならばブラックバス取材は、釣りガール岡田万里奈(25)が担当なのだが、どうしても日程が取れなかったため、今回は、昨年の精進湖予選王者の手塚裕樹さん(37=笛吹市)に単独で登場してもらった。昨年は、精進湖「湖畔荘」からボートで出て1日だけで40匹以上を釣り上げた実績もある。

手塚さんは「オカマリちゃんがいないのは、ちょっと残念ですが、任せてください。これぞ精進湖バスというピンシャン(尾ヒレのきれいな魚をこう表現する)をお見せしましょう」と力強い言葉を返してくれた。

しかし、思い通りに行かないのが魚釣りだ。

最初の取材日は4月18日だった。昨年同時期、バスの釣果があがっていたが、今年は様子が違った。この時点で釣れたバスはたったの3匹。しかも、ヒットルアーはすべてスピナーベイトだった。湖面から底付近までバスの反応を探るのに適しているルアーで、回転するプロペラが生み出す水流などで驚いたバスが思わず口を使ってしまう、そんな特徴を持っている。

手塚さん 不意を打たれて反射的に食いついたパターンなのかもしれない。それは、苦手だなぁ。

不安な気持ちは、そのままロッドからラインを通してルアーに伝わるのかもしれない。魚探(魚群探知機)には魚の動く反応はなく、何度投げてもルアーに負荷がかかることはなかった。

手塚さん 唯一、反応があるとしたら、水深8メートルの底面にフワッとした影。おそらく動かずに固まっているワカサギ。この魚群がカケアガリからシャロー(浅場)に移動してくれないと厳しい。

結局、この日は釣れなかった。午後から吹き抜けた南風は、富士山から吹き下ろすのか冷たく、肌を切り裂くようだった。精進湖からバスの鼓動はみじんも感じられなかった。

時代が平成から令和となったゴールデンウイーク(GW)後半からギラつく太陽が青空に君臨し、バスの扉を開いた。5月5日、キーワードは、こどもの日だからか、まさに「こいのぼり」だった。

手塚さん まったく違う。同じ湖とは思えないほど状況が変わっていました。ブルーギルが素早く泳いでいくのも見えた。魚探にはワカサギの群れがカケアガリから浅場に分布していた。ほとばしる生命感であふれていました。

見つけた。バスの姿を目視できた。シャローを移動する大きなコイの群れの中に隠れていた。

手塚さん コイをカムフラージュにして警戒心のないワカサギを狙うんでしょうね。その裏を突く。

ボール状になったコイの群れの向こう側にシャッド(※)をちょい投げして、スローでリールを巻いてくる。バスの鼻先まできたら、ティップ(ロッドの先端)を振るわせてシャッドに不規則な動きをさせた。

手塚さん 逃げそこなったスキだらけのワカサギを装うイメージです。まんまと51・2センチ(2280グラム)と43センチ(945グラム)の2匹をゲットできました。「こどもの日」だけにコイに助けられました。

シャローで回遊し始めたワカサギを追いかけてきた。長らく閉ざされ冬期にバスの活性が、ようやく春色に染まってきた。精進湖、ダービー予選に間に合った。【寺沢卓】

※シャッド バスが捕食する小魚を模したルアーの総称。現在の精進湖ならば深場に張り付いて、気温と水温上昇で浅場に浮いてきたワカサギを想定している。アクションを加えることで逃げまどう泳ぎを演出し、バスに口を使わせることができる。

▼ルール 5月10日~6月9日まで、1日につき、バス3匹以内の合計重量審査。期間内は何度でも挑戦できる。参加者は、初回に1000円の参加費を納めると、参加賞として保冷バッグが渡される。上位3人が決勝進出の権利を得られる。

▼宿 精進湖「湖畔荘」【電話】0555・87・2003。バスの出舟は、午前5時で帰着午後4時。ボート料金は2500円から。食堂も営業していて、朝定食700円のほかにランチも。マーボー豆腐、パスタなどの新メニューも曜日によって提供中。