合わせのタイミングを探る面白さ、身のうまさが人気の寒ヒラメを狙おうと先日、三重・鳥羽の石鏡漁港から出る「三幸丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の船で同沖へ出た。まだ、ハシリで、ハマチなどが多くて思いのほか食いが渋かったが、常連たちが底から1メートル上を的確に攻め、なんとか本命をゲット。船中で38~53センチ5匹に30~40センチのオオモンハタも4匹上がった。ヒラメは水温が下がってくるこれからが本番。活性が上がってくれば、数、型ともに期待できる。【近江康輔】

ヒラメは縁側がおいしいことで知られる高級魚。特に寒の時期は身が厚くなってうまみが増す。釣り人にとって1匹の価値がかなり大きい魚だ。ポイントは石鏡沖の魚礁周りで水深は25メートル前後。里中典生船長が巧みな操船で小魚の群れを追うように船を流していく。

魚群探知機の反応はたっぷり。2年前に5匹もヒラメを釣った記憶を思い出して期待が膨らむ。生きのいいイワシを餌に胴突き仕掛けを底まで落とし、ゆっくり引き上げては落とすと竿先がコツコツと震える前アタリをとらえ、グーッと竿先が引き込まれた。よっしゃとばかりに合わせるが手応えが違う。グッグーと横へ走る引きをみせたのは40センチほどのハマチだった。

どうやら底から2~3メートル上にハマチが群れているようで、大きな誘いをかけるとハマチが先に食ってしまう。そんな釣りづらい中でも常連はきっちりと本命をゲット。座布団級を狙って石鏡沖に通う右舷前方の桑原大喜さん(伊賀市)が53センチを釣り上げ「ハマチをかわすために底近くをしっかりキープして食わせました」と会心の1匹ににんまり。

1匹上がれば立て続けに釣れるのが石鏡沖だが、なかなかあとが続かない。時折、前アタリが出てイワシに傷がつくが、竿先を引き込む本アタリが出ない。しばらくすると今度は左舷の岡森洋忠さん(伊賀市)が捨て糸のない仕掛けで底から1メートル上をキープし、45センチを釣り上げた。それならと記者も底近くで竿を潮上に引いて誘うが、掛かったのはまたもやハマチだった。タナが上すぎるのか……そんな記者を尻目に注目されたのは、プロの釣り師になるのが夢で、父の洋忠さんと年間50回の釣行をこなすという志穂さん(小5)。

大人顔負けの竿さばきで立て続けに45センチのヒラメ、35センチのオオモンハタをゲット。「ジギングでブリを釣ったこともあるんですよ」と余裕の笑顔をみせる。すごい。魚釣りが本業の記者が負けていては恥ずかしいなと底どりを繰り返して底から1メートル上で本命アタリを待つが、35センチのオオモンハタを追加したところで時間切れ。この日はヒラメのご機嫌が悪かったが、釣行後は竿頭で40~55センチを5匹釣った日もあり、食いは上昇気配。釣りバカは爆釣のときよりも、釣れなかったときのほうが燃えるもの。春まで釣行を重ね、良型を仕留めてやるぞとリベンジを誓い、石鏡沖をあとにした。

【問い合わせ】三幸丸【電話】0599・32・5604。乗合船料金は半日便1万2000円、1日便1万5000円(餌、氷付き)。出船は午前便が午前6時ごろ、午後便は午後0時すぎ。1日便の釣り時間は午前9時出船、午後5時納竿。素泊まり3000円。他にも「幸徳丸」(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】090・7303・5080がある。

【交通】近鉄鳥羽駅下車、バス、タクシー利用。車は大阪から名阪国道、伊勢自動車道、伊勢二見鳥羽ライン経由。鳥羽IC交差点から国道42号へ。鳥羽駅をすぎて同167号へ。安楽島大橋を渡り県道750号から同128号(パールロードシーサイドライン)へ。約20分で石鏡漁港。

【今後の見通し】水温がもう少し下がり15度くらいになり、伊勢湾内のベイトフィッシュが沖に集まってくるとヒラメの食いも本格化すると思われる。魚礁周りでは、40~50センチの数釣りが期待でき、沿岸よりの岩礁が点在するところでは70センチ超えの座布団クラスが狙える。釣期は4月初旬まで。