「友釣り発祥の川」として名高い静岡・狩野川が5日、アユ解禁日を迎えた。上流に位置する旭水園前では、解禁を待ちわびた10人ほどが、日の出とともに川に入り、解禁を楽しんだ。同所では、正午までに約50人が挑んだが、釣果はポツリポツリ。この日は条件も悪かった。前日の大雨で水位が約10センチほど上昇したことに加え、水温も18度と上がらず、アユの活性が上がらなかった。

旭水園前を勝負場所に選んだ花井城助さん(75)は、午前中で6匹を上げた。今年の解禁を「昨日の雨の影響でアユが下ってしまったと思う。その厳しい中なので、こんなものです」と話した。「昨年は放流量も多く、条件も良かったので、短時間でぱっと釣れた。今年は10匹を超えた人がいないかも」と苦笑した。「天然物も数匹入っていたけど、まだ放流から間もないので、大きいのが掛かるのは梅雨明けころになりそうかな」と続けた。

旭水園より下流の宮田橋周辺では、約10人ほどがサオを出した。橋脚付近を攻めた男性は「全然ダメ。ここ5年はダメ。天然が上がってこない。小さいのが4匹釣れたけど、オトリにならないサイズなのでリリースした。解禁日でこれじゃダメだね」と嘆いた。

上流の矢熊橋付近の男性は「昨日の雨のせいか人が少ない。今年は放流も少ないようでポツポツしか釣れない」と異口同音だった。

狩野川漁協は6月1~3日で計2・5トンを放流したが、これは去年の半分。「5月には放流したかったけど、もろもろの事情で…」と関係者は口ごもった。今年は海産に限定して放流した。「これまではいろんなアユを放流してきたけど、放流後、長く続けるためには天然アユを増やす必要がある。アユがどれくらいふ化しているのか流下調査してみると結果が悪かった。海産は遡上(そじょう)して戻ってくる。長い目で見て、海産を放流して行くしかない」と話した。