山梨・西湖の日刊スポーツ共栄会「白根」(渡辺安司代表=64)では、ヒメマスが間もなく旬を迎えそうだ。春の解禁は5月31日まで。渡辺代表は、この春最もホットになりそうな時季を「ゴールデンウイーク(GW)明け」と予想する。暖かい陽気の中、“お姫さま”と戯れてみませんか?

    ◇    ◇    ◇  

富士五湖の1つ西湖は、富士山世界文化遺産を構成する資産でもある。神秘的にも見える藍色の湖水が特徴で、“奇跡の魚”クニマスが生息する唯一の湖としても有名だ。

西湖におけるヒメマスの釣り方は主にトローリングと餌の2通り。

トローリングは「ヒメトロ」と呼ばれ、電動ボートで仕掛けを流す釣り方だ。「人が歩く速さの時速2キロほどで仕掛けを流します。水深10~15メートルで食ってくると良型が望めます」と渡辺代表。西湖の平均サイズは20~23センチだが、1回り上の「25~26センチが食ってきます」。仕掛けは道糸の先にまずオモリが付く。そこから数枚の集魚板をつけたハリスの先にルアーを付け、1本もしくはチラシ3本針をセットしたものが主流だ。

井上信義さん(51)もヒメトロにはまった1人。取材当日「今日は渋い!」と言いながらも9匹を釣り上げた。「つ抜けしたかったけどダメでした。でも型が良かったのが救いです」と笑う最大は25センチだった。「タナは10メートルくらい。朝方に5匹釣れて、午前9時くらいから正午まではサッパリ。昼すぎからまたポツポツ釣れて、夕方はダメでした」と振り返った。

ヒメトロのポイントは「仕掛けを流す速度」だという。「(道糸を)45度キープで流して、時に速く、時に遅くと、強弱をつけて誘っています」。速い誘いでヒメマスがリアクションバイトすることもある。リアクションバイトで掛かるのは良型が多いが、この日は「ゆっくりの方がよかった」という。「日によって違うので、その日の正解を探すのが楽しいんです」と話した。

餌釣りはサビキで、紅サシかイクラを使用。秋はイクラの反応が良いが、春は紅サシが有効だ。タナ取りが重要で「水深10~15メートル辺りで釣れています。餌となる虫の羽化の関係か、秋よりも5~10メートル浅い。日が上がる前は3~5メートルでも食っています」と渡辺代表。食い気が高いときは置きザオでも食うが、反応がないときは「ゆっくりサオを上下させるか、舟を揺らすのも効果的。あまりガシガシ誘うと魚が散ってしまいます」とアドバイスをくれた。

吉村秀司さん(52)は釣り仲間計6人で13匹を釣り上げた。最大22センチを釣り上げた吉村さんは「午前10時くらいだったかな。水深は15メートルくらいで、着色したコーンに食ってきました」。ヒメマスの魅力は「食べておいしいこと」だという。「ウチらは普段海釣りなんですけど、ヒメマスはとにかくおいしいので、この時季は西湖でヒメマスを狙っています」と話した。

西湖を知り尽くす渡辺代表がこの春、最も熱くなりそうな時季と予想するのはGW明けだ。「ポイントとなるのは風向きと水温。西湖は南西の風が一定に吹いてくれると釣果も安定します。また、ヒメマスの活性が高まる水温は10~12度。表層水温で13~15度くらいが狙い目なので、条件がそろうのはGW明けあたりになりそうです」。

良型の“お姫さま”を制限30匹確保も夢ではない。西湖を目指せ!【川田和博】

<“若さま”ワカサギも 産卵5月中旬まで>

西湖でヒメマスとともに楽しめるのがワカサギだ。河野真哉さん(39)はワカサギのみを狙っての出漁。「餌は紅サシで34~35メートルのほぼ底。午後の方がよく釣れました。おかずになるくらいは釣れたので良かったです」とほほ笑んだ。渡辺代表は「産卵はもう始まっていて5月中旬の大潮くらいまでと、だらだらと長いのが特徴です。昔は沖で産卵していましたが、ここ最近は伏流水(地中に潜り込んで流れる水)のポイントが増えているのか、深場で産卵しているようです」という。食べて絶品の産卵期のワカサギは、ベタ底狙いがよさそうだ。

▼白根【電話】090・4917・4480。出舟午前5時~、岸帰着午後5時。ヒメマス制限30匹。2人乗りボート1日1人の場合3000円、2人の場合4000円。大人5人まで乗れるボートもあり。ヒメマス&ワカサギ日釣り券1700円、女性&中学生850円。ブラックバス、ヘラブナ釣りに加え、湖畔でのキャンプも可能。※詳細は電話でお問い合わせください。