モデルでツリジョの“つーちゃん”こと利水つばさが、神奈川・鶴見「新明丸」(新明利勝船主=68)でスミイカ釣りに挑戦した。22年11月、同船での初挑戦時は6回ヒットも、顔をみられたのはゲストのアカメフグのみ。静かなる闘志を燃やし、リベンジに挑んだつーちゃんだったが…

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今季のスミイカは“厳しい”といわれた昨年以上という。そんな状況を伝えるも「昨夜は一睡もできませんでした」。一見おっとり系だが、その内側には静かなる闘志がメラメラと燃えている証拠だ。

新明丸は東京湾伝統釣法「シャコのテンヤ釣り」を守り続けている。だが、相変わらずシャコが苦手なつーちゃんは「カマキリとダンゴムシとゴキブリを足したような感じが苦手」と顔をしかめた。高橋英夫船長(53)にセットしてもらい、基本的な釣り方も改めてレクチャーを受けた。

開始から約2時間半。小さな幅でシャープにしゃくり続けるつーちゃんのロッドにアタリがあったが、バレた。この時点で2匹を釣っていた常連の窪田秀利さん(69)は「女性の力だと掛かりが甘いので、ゆっくりでもサオを90度に立てるくらいの方がいいかもしれない」。これを受け、ゆっくりだが大きなストロークを意識した。

“後半のつーちゃん”が本領を発揮したのは終了約1時間半前。しゃくった瞬間、違和感があったのかリールを巻き始めた。あまりの重さに「だれかオマツリしていませんか? それとも根掛かり?」と疑心暗鬼。「重い、重すぎます。あと何メートルあるの?」。海面に姿を見せたのは1キロほどのタコ。窪田さんのタモ入れで無事取り込むと「腕がパンパン。途中で諦めそうになった」と両腕をブラブラさせた。苦労してゲットも足が2本足りなかった。

ラスト約30分で再びヒット。今度はしっかり足が10本あったが、ゲストのマルイカだった。そしてタイムアウト。リベンジはできなかったが、「テンヤを止める時間を後半は3~4秒にしてみました。短めのステイと大きなしゃくりであと1歩のところまで来たので、次は釣れそうな気がします」と前向きだ。

高橋船長は「今年は毎日が振り出しに戻っているような感じで、昨日釣れた場所が続かない。個体数自体も少ないかもしれない。本来であれば深場の最盛期ですが、水温が高いせいかそれもない」と嘆いた。

厳しい年の1匹は、より価値あるモノとなるかもしれない。【川田和博】

■新明船主も常連も嘆く状況は悪い…

新明船主は「ここ10年を振り返っても、ここまで悪い年はない」という。「フグが釣れている年はイカやタコは釣れないといわれますが、今年がまさにその状態」。また。スミイカ歴20年という常連の清水正美さん(74)も、「今季は10年ぶりにボウズを食らいました。ここ数年というか、自分の感覚では14~15年前以来の悪さだと思います」と話した。

■高橋船長アドバイス「止めないと乗りません」

高橋船長はスミイカ釣りの最重要事項に「テンヤが着底したら、しっかり止めること」を挙げた。「スミイカは海底からちょっと浮いたところにいて、動いている獲物が止まった瞬間に襲います。だから、しっかり止めないと乗りません」。同じ甲イカでも、止まっていた獲物が動き出す時に襲うアオリイカとは全く逆だ。誘い方は「しゃくり幅とテンヤを止める時間の組み合わせ」という。「5~6秒を基本に長め、短めと、その日のパターンを探ってください」。

(1)掛かったら等速で巻く(2)水面から上げたらまずはテンヤを持つ(3)イカのおなかを海側に向け首根っこをつかんでテンヤを外す。これで取り込みはOKだ。

▼鶴見「新明丸」【電話】090・4600・1225。出船午前7時30分。シャコ3匹付き1万円、女性5000円。現在、フグ、マゴチも出船中。※釣り物は時季によって変わるため、必ず電話で確認を。