医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 長野県は野菜摂取量が全国1位である。高原野菜の産地なので、野菜をたくさん食べて当たり前と思われるかもしれない。

 しかし、長野県の冬は長く、野菜ができる時期は限られており、1年を通して野菜を食べる習慣はなかった。

 その長野県が野菜をたくさん食べるようになったのは、健康づくり運動で「野菜を食べよう」と長年、呼びかけた結果である。

 厚生労働省は、1日350グラム以上の野菜を食べることを推奨している。いま成人男性が1日に食べる野菜の量は290グラム、女性は270グラムというから、野菜不足は現代人みんなに共通した問題だろう。

 350グラムの野菜というとどれくらいの量になるのか。野菜の種類によっても重さが違うので何ともいえないが、生の野菜だと両手のひらいっぱいのカサを、3倍にした量が目安となる。つまり、1日3食平均的に野菜をとるなら、毎食、両手のひらいっぱいの野菜を食べなければならない。

 そんなに食べられないと、あきらめるのは早い。みそ汁に野菜をたくさん入れて食べる具だくさんみそ汁にしたり、おひたしにしたり、温野菜サラダなどにすればカサが減り、けっこう食べられる。干し野菜の煮物などもいい。

 最近お勧めしているのが、野菜ジュースである。ミキサーでもジューサーでもいいので、冷蔵庫にある野菜をジュースにする。少しのリンゴやヨーグルトで味付けするとおいしく飲める。

 ランチは、コンビニ弁当という人も、サラダやおひたしのパックを1品つけるだけでずいぶん健康的な食事になる。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。