医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 「とりあえずビール」から始まって、上司の悪口を肴(さかな)にやる酒はうまい。

 お酒の種類の選び方は大事だ。日本酒やワインより、ウイスキーや焼酎のほうが血糖値を上げにくい。しかし、どの種類でも、飲み過ぎには問題がある。

 マサチューセッツ大学医学部が発表した論文によると、お酒を飲みすぎると細胞が破壊され、腸のバクテリアが血液中に排出されるという。

 過剰なアルコール摂取により、発熱、アレルギー反応を起こす要因となる血液中のエンドトキシンという毒素が発生するというのだ。

 では、「飲み過ぎ」とはどの程度の量か。体重60キロの人では、120ミリリットルのグラスで、ワインを3~4杯飲んだとき、血液中のエンドトキシンは大量に増加。さらに腸管の外にある細菌が血液の中に排出されていることも明らかになった。体中にエンドトキシンがばらまかれるということだ。

 アルコールは、肝細胞を破壊して肝炎を起こしたり、肝硬変や肝臓がんを結果として起こしたりするともいわれている。

 アルコールは脂肪肝の原因にもなる。以前、脂肪肝はあまり怖い病気ではないといわれていたが、脂肪肝から肝硬変に進むことも最近は確認されている。

 酒量を抑えるには、水を一緒に飲むのがいい。ウイスキーではチェイサーというが、日本酒では和らぎ水というらしい。酒と交互に、同量の水を飲むようにすると、アルコール濃度は薄まり、アルコールによる脱水も予防できる。

 適度な飲酒は気分転換になっていいが、やはり、ほどほどに上手につきあってもらいたい。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。