医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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 米国ハーバード大学が2015年11月、手料理で糖尿病のリスクが下がると発表した。米国の男女10万人を調べた結果、毎日、手作りの食事を食べている人は、そうでない人に比べて、糖尿病になるリスクが13%も低かった。

 外食は味付けが濃く、栄養バランスが偏りがちになることが、糖尿病のリスクを高めると考えられる。

 東日本大震災後、南相馬市や相馬市の被災者に糖尿病の発生率が6割もアップしたという研究結果もある。

 ファストフードや災害時の緊急支援物資などは炭水化物が多く、血糖値を上げやすい。被災地でもできるだけ早く自分の生活のリズムを取り戻して、手作りの料理をすることが大事だということ。

 不健康な食事は脳の海馬に影響を与えるという研究もある。オーストラリアのデーキン大学とオーストラリア国立大学の研究によると、塩分の多いスナック菓子や砂糖入り飲料などを日常的にとっている人は、健康的な食事を続けている人に比べ、海馬の容積が小さくなっていることがわかった。

 海馬は記憶をつかさどる脳の部位。認知症患者の多くは海馬の機能が低下している。

 外食やファストフード、スナック菓子などに頼らず、手作りの料理を意識してみてはどうだろう。

 ぼくが作れる料理はトマト寒天のみ。だが、やってみると楽しいかもしれない。

 最近は、料理男子、弁当男子などといって、料理に凝り、自分で作った弁当を持参する男性も増えてきたと聞く。

 楽しく料理して、なおかつ健康になれるなら、こんないい趣味はない。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。