医師で作家の鎌田實さん(67)が、日常生活のちょっとした工夫で健康になり、10歳若返るヒントを教えてくれます。

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☆かきは精力アップ、野菜は干すとパワーアップ

 居酒屋のお通しなどに出てくる切り干し大根の煮物。実に地味な食べ物だが、味がしみてとてもおいしい。

 干し野菜は甘みが増し、味が凝縮されておいしくなる。ビタミンCなど一部の栄養素は減少するが、ほとんどの栄養価が高くなる。パワーアップするのだ。

 たとえば、切り干し大根は、太陽の光を浴びることで亜鉛が10・5倍になる。この亜鉛は男性の精子をつくる材料になる。

 亜鉛の多いものは精力剤ともいわれる。海のミルクとも呼ばれるかきは亜鉛の宝庫といわれる。季節には、かき鍋や生がきなどがお勧め。1年を通してなら、かきフライがいい。

 亜鉛は、味覚にも関係している。亜鉛が不足すると味覚が鈍くなり、食欲が落ちる。高齢者は食が細くなったことで体力が低下。胃ろうを置かなければならなくなることもある。

 野菜を干すとカリウムも14倍に増える。カリウムは心臓の収縮に大事な電解質。しかも、カリウムはナトリウムに置き替わり、血圧を安定させてくれる作用がある。

 食物繊維も15倍に、ビタミンB1は16倍に、カルシウムはなんと23倍になる。

 シイタケは、1~2時間、太陽に当てるとビタミンDが10倍も増えるといわれる。

 切り干し大根にはカルシウムが多い。それに干しシイタケを加えれば、ビタミンDとカルシウムで骨を強化してくれる。

 干し野菜は定番の煮物のほか、野菜炒めに加えたり、スープの具にしたり、炊き込みご飯にしたり、と意外に出番は多い。

 ◆鎌田實(かまた・みのる)1948年(昭23)6月28日、東京生まれ。東京医科歯科大医学部卒業後、長野県茅野市にある諏訪中央病院の医師になる(現在は名誉院長)。チェルノブイリ原発事故の患者支援、イラク難民支援を続け、東日本大震災後の被災地支援にも力を入れている。著書「がんばらない」など多数。